アニサキスによる食中毒が発生しています。3月に公表された「平成30年食中毒発生状況報告」(厚生労働省)によると、平成30年の事件数は約470件で4、5月に集中していました。
これから、釣りや野外での魚料理を楽しまれる方もいらっしゃることでしょう。ここではアニサキス症の予防のポイントをご紹介します。

アニサキスは寄生虫(線虫)の一種です。アニサキス幼虫は、アジ、イワシ、サバ、サンマ、カツオ、サケ、イカなどの海産魚介類に寄生していることがあります。寄生している海産魚介類を生(不十分な冷凍や加熱状態のを含む)で食べることにより、アニサキス幼虫が胃壁や腸壁に刺入してアニサキス症を起こすことがあります。

■加熱調理や冷凍処理を!
アニサキス幼虫は60℃で1分加熱することで死滅します。また、冷凍処理により感染性を失うので、魚を-20℃以下で24時間以上冷凍することも有効です。
■内臓を除去!
アニサキス幼虫は、寄生している魚介類の鮮度が落ちると内臓から筋肉に移動することが知られています。魚介類が新鮮なうちに速やかに内臓を除去し、十分に洗浄することが有効です。
■目視も有効!
海産魚介類を生で食べるときは、目で見て虫体がいないことを確かめてください。魚介類に寄生した虫体の多くは、長さ2〜3cm、幅0.5〜1mmの白色で少し太い糸のように見えます。
なお、一般的な料理で使う程度の濃度の酢、醤油やわさびを付けてもアニサキスが死ぬことはありません。


※アレルギーの報告について
アニサキスを抗原とするアレルギー反応により症状を示すアニサキスアレルギーが報告されています。症状として、じんま疹、血管浮腫、気管支けいれん、アナフィラキシー(全身の発疹、呼吸困難、血圧低下、おう吐)などがみられます。このような症状がみられたら、すぐに診察を受けてください。

(参考)
・食品安全委員会 ファクトシート「アニサキス症」

http://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_anisakidae.pdf
・厚生労働省 アニサキスによる食中毒を予防しましょう
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html
・厚生労働省 平成30年食中毒発生状況等について(薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会食中毒部会)のページ)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-yakuji_127886.html
・農林水産省 食中毒をおこす細菌・ウイルス・寄生虫図鑑(アニサキス(寄生虫線虫類))
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/f_encyclopedia/anisakis.html