「1歳になるまではちみつを食べてはいけない」という話を聞いたことがありますか。
 それは、ボツリヌス菌が入っているかもしれないからです。今回は、ボツリヌス菌の作り出す毒素による「ボツリヌス食中毒」についてお伝えします。

●ボツリヌス食中毒になるとどうなるの?
 ボツリヌス菌の作り出す毒素が入った食品を食べてしまった場合、8~36時間で症状が現れます。はじめは、気持ちが悪くなる、吐き気、下痢などが現れます。その後、めまい、頭痛を伴う全身の違和感、視力低下、かすみ目等がみられ、ひどくなると呼吸困難になり、死に至ることもあります。

●ボツリヌス菌はどんな菌?
 ボツリヌス菌は、酸素を嫌う細長い形の細菌で、土壌、河川・海洋等に広く存在しています。酸素が少ない瓶の中や缶詰、真空パックの中で増えて「毒素」を作ります。酸素があるところでも、熱や乾燥に強い形(芽胞)となって生き延びるため、注意が必要です。

●ボツリヌス食中毒を予防するには?
 ボツリヌス菌は、もともと土、川、海に住んでいるため、食品の材料そのものからボツリヌス菌を完全になくすことは難しいのです。食品中で芽胞を作らせないこと、菌を増やさないようにすることが大切です。料理をする前には、よく材料を洗う、冷蔵庫や冷凍庫で保存することが効果的です。また、缶詰、瓶詰、真空パック(特に自家製)が、膨らんでいたり臭いにおいがしたりする時には絶対に食べないでください。
 そして、1歳未満の乳幼児には「はちみつ」や「はちみつ入りの食品」は絶対に与えないでください。ボツリヌス菌が口に入っても、大人の場合は腸内で他の細菌に負けて何も起こりませんが、赤ちゃんの場合、まだ腸内細菌のバランスが整っていないため、ボツリヌス菌が増えて毒素を作り出すことがあるためです。

 食品安全委員会では、食品の安全に関してお子さまといっしょに読んでいただきたいページとして、「KID’S BOX」(キッズボックス)というページを作成しています。その中から、特に読んでいただきたいことを、当Facebookでもお伝えします。

(参考)
・内閣府食品安全委員会 キッズボックス ボツリヌス症について
http://www.fsc.go.jp/kids-box/index.data/201901kidsbox.pdf

・内閣府食品安全委員会メールマガジン【読み物版】生活の中の食品安全 -ボツリヌス症について- その1
http://www.fsc.go.jp/e-mailmagazine/mailmagazine_h3101_r1.html
・東京都福祉保健局 食品衛生の窓
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/micro/boturinu.html