食品安全委員会は、月に1回、季節に応じた食中毒の特徴や対策を紹介しています。

 今回は、魚介類に寄生する「アニサキス」による食中毒についてです。魚介類を刺身や寿司で生食する習慣のある日本では、アニサキスによる食中毒の発生が諸外国に比べて非常に多くなっています。

 

 アニサキスは寄生虫(線虫)の一種です。その幼虫(アニサキス幼虫)は、サバ、イワシ、カツオ、サケ、イカ、サンマ、アジなどの魚介類に寄生します。寄生している魚介類を生または不十分な冷凍や加熱状態で食べると、胃や腸壁に侵入して食中毒を起こすことがあります。

 また、アニサキスによるアレルギー反応等の報告があり、症状として、じんま疹、血管浮腫、気管支けいれん、アナフィラキシー(全身の発疹、呼吸困難、血圧低下、おう吐)などがみられます。

 

■加熱調理や冷凍処理を!

 アニサキスは60℃で1分、70℃以上では瞬時に死滅します。また、冷凍処理により感染性を失うので、魚を-20℃以下で24時間以上冷凍することは有効です。酸には抵抗性があり、一般的な料理で使う程度の食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても死ぬことはありません。

■内臓を除去!

 アニサキスは、寄生している魚介類が死亡すると、内臓から筋肉部位に移動することが知られています。そのため、漁獲後は速やかに内臓を除去し、十分に洗浄することが有効です。

■目視も有効!

 魚介類に寄生した虫体の多くは、長さ2〜3cm、幅0.5〜1mmの白色で少し太い糸のように見えます。そのため、調理の際に目で見て確認することも有効です。

 

(参考)

・食品安全委員会 ファクトシート「アニサキス症」

http://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_anisakidae.pdf

・厚生労働省 アニサキスによる食中毒を予防しましょう
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・農林水産省 食中毒をおこす細菌・ウイルス・寄生虫図鑑(アニサキス(寄生虫線虫類))
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/f_encyclopedia/anisakis.html別ウインドウで開きます(外部サイト)・農林水産省ウェブサイト カンピロバクター(細菌) [Campylobacter jejuni, C. coli]
http://www.maff.go.jp/…/f…/f_encyclopedia/campylobacter.html