食品に含まれる化学物質について、ヒトの健康に悪影響が起きる可能性とその程度(リスク)を評価するためには、ヒトや動物の研究で得られる化学物質の摂取量と悪影響との関係を示すデータから、ヒトが生涯摂取し続けても悪影響が生じない量等を計算する必要があります。

 そのための手法として、近年、国際的にも活用例が増えているのが、ベンチマークドーズ(BMD)法です。これは、コンピューター上で数理モデルを用いる手法で、科学的に妥当性のある客観的な計算結果が得られる等の特長があります。

 BMD法は、食品安全委員会においても、過去にヒ素やアクリルアミドなどのリスク評価で活用されていますが、実際の活用に当たっては、いくつかの技術的課題もあります。食品安全委員会が、より一貫性及び透明性を確保しつつBMD法を更に活用していくために、評価技術企画ワーキンググループは、BMD法の手順等についての考え方を整理し、議論の経過を取りまとめた報告書「新たな時代に対応した評価技術の検討~BMD法の更なる活用に向けて~」を食品安全委員会に報告しました。

 食品安全委員会では、BMD法で用いる数理モデルを選択する際の基準及び手順等、本報告書で整理された課題の解決に向け、研究事業の実施等を通じた科学的知見の集積を進めており、今後、同ワーキンググループでは、この報告書の内容や集積した科学的知見を基に、食品安全委員会におけるBMD法の更なる活用に向けた指針を作成する予定です。

 

(参考)

・食品安全委員会ウェブサイト 評価技術企画ワーキンググループ「新たな時代に対応した評価技術の検討~BMD法のさらなる活用に向けて~」(PDF)

http://www.fsc.go.jp/senmon/sonota/index.data/wg_gijyutsukikaku_houkoku_2.pdf

 

・BMD法について更に詳しく知りたい方のための資料(いずれもPDF)

①ベンチマークドーズ(BMD)法の最近の動向について(2017年8月31日、第7回食品安全委員会評価技術企画ワーキンググループ、国立医薬品食品衛生研究所広瀬明彦安全性予測評価部長発表資料)

http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20170831so1&fileId=210

②用量-反応関係分析の課題(2017年8月31日、第7回食品安全委員会評価技術企画ワーキンググループ、京都大学環境安全保健機構健康科学センター川村孝センター長発表資料) http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20170831so1&fileId=110

③ベンチマークドーズ(BMD)法で使用する数理モデルの意味合い的由来とモデル選択について(2017年10月20日第8回食品安全委員会評価技術企画ワーキンググループ、北海道大学大学院西浦博教授発表資料)http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20171020so1&fileId=210