【食品安全の用語】では、食品安全やリスク評価を知るうえで重要な用語を紹介しています。

 今回は、リスクアナリシス(リスク分析)についてご紹介します。

 

 食生活を取り巻く環境が大きく変化する中、世界各国の経験から、国民の健康保護が最優先という考え方や、リスクアナリシスの導入などが世界的に重視されるようになりました。日本においても、これらを取り入れた食品安全基本法に基づく食品安全行政を展開していくこととなり、食品安全委員会が発足しました。

 リスクアナリシスとは、食品中に含まれるハザード(危害要因)を摂取することによって人の健康に悪影響を及ぼす可能性がある場合に、その発生を予防し、又はそのリスクを低減するための考え方のことです。

 リスクアナリシスは3つの柱によって成り立っており、その柱が「リスク評価」「リスク管理」「リスクコミュニケーション」です。この柱のうち、「リスク評価」を食品安全委員会が担っています。リスク評価とは、食品に含まれる可能性のあるハザードが人の健康に与える影響について評価を行うことです。

 リスク評価の結果に基づいて、厚生労働省や農林水産省、消費者庁など(リスク管理機関)は、使用基準の設定などを実施し、「リスク管理」を行います。また、リスク管理機関は、食品安全上のリスクが生じる要因が発見された場合は、食品安全委員会にリスク評価の要請を行います。

 消費者、事業者、リスク管理機関などの行政機関の関係者などが一緒に情報と意見を交換し、食品安全について理解を深めるのが「リスクコミュニケーション」です。食品安全委員会もリスクコミュニケーションを積極的に行っています。

 この3つの柱が相互に作用しあうことによって、相乗効果が生まれ、より良いリスク評価や、より良いリスク管理へと繋がっていきます。

 

 ※【食品安全の用語】は、原則第1月曜日にお伝えします。次回はリスク評価についてご紹介します。