食品安全委員会では、食の安全ダイヤルにて、食の安全に関する皆さまからのご質問にお答えしています。お問い合わせの中で、魚介類に含まれるメチル水銀に関するものがあります。今回は、魚介類に含まれるメチル水銀についてのお話です。

 

■メチル水銀が魚に多く含まれていると聞きましたが、食べても大丈夫でしょうか。(食の安全ダイヤルQ&A QIII-10)

 

魚介類の体内には自然界の食物連鎖を通じて微量のメチル水銀が蓄積されています。その含有量は一般に低いので健康に害を及ぼすものではありませんが、クジラやマグロ等の一部の魚介類については、食物連鎖を通じた濃縮を経てメチル水銀濃度が比較的高いものも見受けられます。
メチル水銀は、体内に入った後、消化管から血中へと吸収され、肝臓や腎臓を経由して糞尿として排泄されるほか、毛髪にも含まれて体外に出されます。妊婦の場合は、体内に入ったメチル水銀の一部が胎盤を通過して胎児に移行し、その胎児の発育・発達に影響を及ぼす可能性があります。
食品安全委員会では、平成17年8月に「魚介類等に含まれるメチル水銀についての食品健康影響評価」をとりまとめました。その中で、胎児をハイリスクグループとし、妊婦が1週間に摂取しても胎児に影響を及ぼさない量(耐容週間摂取量)を、妊婦の体重1kg当たり水銀として2.0μgとしました。
この評価を受けて、厚生労働省から妊婦に向けて魚介類の摂食量についての注意喚起が出されています。一般的に、魚介類に含まれるメチル水銀濃度は、0.4ppm(mg/kg)以下ですが、食物連鎖の高い位置をしめる魚類の一部では、5ppmを超えることもあり、高齢、大型の肉食性の種類の魚やハクジラ類は、比較的高濃度のメチル水銀を含んでいることから、キンメダイ、メカジキ、クロマグロ、メバチマグロなどは一回に食べる量を80gとして、妊婦の方は1週間に1回までを目安に食べることを勧めています。
魚介類は良質なタンパク質や健康に良いと考えられるEPAやDHA等の高度不飽和脂肪酸を他の食品に比べて多く含むとともに、ミネラル、微量栄養素の摂取源でもあり、健康な食生活にとって不可欠な栄養上の特性を持っていますので、積極的に食べてほしい食材です。妊娠中の方は、魚の種類と量のバランスを考えた食生活を。なお、男性や妊娠していない女性におかれては、これらの魚種であっても通常の食べ方をして差支えありません。

 

食品健康影響評価「魚介類等に含まれるメチル水銀について」

http://www.fsc.go.jp/fsciis/evaluationDocument/show/kya20040723175

お母さんになるあなたへ(食品安全委員会)

http://www.fsc.go.jp/sonota/maternity/maternity.pdf

お魚について知っておいてほしいこと(厚生労働省)

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/dl/051102-2a.pdf