サルモネラ属菌は、鶏、豚、牛などの動物の腸管や河川、下水などの自然界に広く分布しており、血清型による分類で2,500種以上が知られています。食中毒の原因としては、特にサルモネラ属菌に汚染された鶏肉や鶏卵を摂取することで、少量の菌でも発症することがあります。

サルモネラ属菌による食中毒の発生は、2000年以降、減少傾向を示しています。近年の発生件数は、年間100件以下、患者数も2桁以下で推移しています。しかし、患者数500人以上の大規模な食中毒が発生した事例もあります。

 

食中毒症状は、汚染された食品の摂取後、12~48時間の潜伏期を経て現れる急性胃腸炎の症状が主で、腹痛、下痢、嘔吐などと発熱(38~40℃)を特徴とします。特に、小児や高齢者、基礎疾患のある方などでは、重症化することがありますので、速やかに医師の診察を受ける必要があります。

 

過去に原因食品として報告されているものには、食肉(牛レバ刺し、鶏肉)、卵(加工品を含む)、ウナギ、スッポン、乾燥イカ菓子などがあります。

食肉の不十分な加熱や生食、調理過程での食肉からの二次汚染が食中毒の原因となる事が多いです。日頃から、サルモネラ属菌をつけない(手指の洗浄、調理器具の使い分けなど)ふやさない(低温保存など)やっつける(食材の加熱処理、調理器具の殺菌など)の基本的な食中毒防止対策(下表をご覧ください)を励行してください。

 

卵のサルモネラ属菌による汚染が多い、と聞くと、卵かけご飯など、私たちの食生活になじみ深い生卵の安全性が気になる方もいらっしゃるかもしれません。卵の汚染には、卵殻の表面と卵の内部がありますが、日本の養鶏場においては親鳥の感染を防止するための種々の対策が講じられ、通常の流通過程でも鶏卵の洗浄・殺菌が行われるなどのの衛生管理が行われており、卵殻の表面の汚染はなく、内部が汚染された鶏卵のみと考えられます。内部が汚染された鶏卵は、数千個に1 個の割合で発生し、その菌数は数十個とされていますので、流通時の温度やその経過時間が重要になります。生食するために鶏卵を購入する場合は、表示の「生食用」を確認し、購入後は速やかに冷蔵庫(10℃以下が目安)で保存し、期限内に食べるようにしましょう。また、乳幼児や妊娠中の方、高齢の方、免疫力が低下している方は、生卵ではなく、十分加熱した卵料理として召し上がっていただくことをお勧めします。

 

(参考)

内閣府食品安全委員会オフィシャルブログ 生活の中の食品安全-安心して生卵を食べられる国 [1]

http://ameblo.jp/cao-fscj-blog/entry-12250547257.html

 

内閣府食品安全委員会オフィシャルブログ 生活の中の食品安全-安心して生卵を食べられる国 [2] Q&A

http://ameblo.jp/cao-fscj-blog/entry-12250829911.html