昨日、前橋市は、8月11日(金)に同市内の惣菜店で調理・販売された食品を原因とする一連の腸管出血性大腸菌(O157)食中毒事案に関して、新たに2人の患者が確認され、1人が溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症して亡くなっていたとの報道発表を行いました。

この発表を踏まえ、厚生労働省は腸管出血性大腸菌感染症及び食中毒予防対策を啓発するために、都道府県等を通じ、医療機関に対する情報提供及び食品等事業者への注意喚起を行いました。

 

前橋市の報道発表

http://www.city.maebashi.gunma.jp/sisei/473/003/p018499_d/fil/20170913_2.pdf

厚生労働省の通知

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000177366.pdf

 

食中毒予防のためには、食中毒菌等の特徴を理解し、ご家庭で、また、ひとりひとりが対策を実践することが重要です。是非、以下をご覧ください。

 

<腸管出血性大腸菌とは>

腸管出血性大腸菌は、人に下痢などを起こす病原性大腸菌の一種で、強い毒素(ベロ毒素)を出し、重症の場合、溶血性尿毒症症候群(*)などの合併症を引き起こします。腸管出血性大腸菌は、血清型という分類により多くの種類がありますが、食中毒の原因となっているものとしては、代表的なO157の他に、O26、O111、O103、O145などが知られています。

*様々な原因によって生じる急性腎不全。貧血、血小板減少、腎機能障害を特徴とする。

 

<感染源は>

 腸管出血性大腸菌は、動物の腸管内に生息し、糞尿を介して食品、飲料水を汚染することがあり、汚染された食品を生や加熱不十分で食べることにより感染します。家畜の場合、保菌していても下痢などの症状を示すことはほとんどないので、と畜検査で見つけることは困難です。日本では、牛レバー、牛肉、野菜の浅漬け、井戸水等を感染源とする食中毒事例が報告されています。

 

<症状は>

この食中毒では、潜伏期間は1〜14日間(平均4~8日)、主な症状は腹痛と下痢です。全く症状がないもの、軽い腹痛や下痢のみのもの、頻回の水様便、激しい腹痛と血便を伴う出血性大腸炎を起こすものもありますが、高熱を発することは、あまりありません。乳幼児や高齢者では、重症化することがあり、死に至る場合もあります。

 

<予防するには>

腸管出血性大腸菌は比較的少ない菌数で食中毒が発生するため、食べ物に細菌をくっつけないことが重要です。また、腸管出血性大腸菌は加熱や消毒により死滅するため、食肉は中心部まで十分加熱する(75℃以上で1分以上)、野菜類はよく洗浄する、調理器具の使い分けや消毒などの対策、低温保存の徹底をすることで予防できます。これらの対策は他の食中毒原因菌にも有効な方法ですので、食中毒予防のために日常生活の中で是非実践してください。

 

(参考) 食品安全委員会ウェブサイトで公開している資料

・腸管出血性大腸菌 食中毒の概要について

http://www.fsc.go.jp/sonota/e1_bbq_food_poisoning_e2.data/01_ehec.pdf

・腸管出血性大腸菌 リスクプロファイル

http://www.fsc.go.jp/sonota/risk_profile/risk_ushi_o157.pdf

・報道関係者との意見交換会

http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20170112ik1