今が旬のモロヘイヤ

~種子には毒性があるので家庭菜園での栽培時にはご注意を~

 

ねばねば野菜として人気のモロヘイヤが売り場に多く並ぶようになりました。庭先や家庭菜園のモロヘイヤも、暑い季節を迎えて、たっぷりと葉を茂らせ、摘んだ先からまた脇芽を出し、元気いっぱいですね。

モロヘイヤ(Corchorus olitorius)は、アフリカ北部からインド西部を原産とするシナノキ科の一年生草本で、日本でも30年ほど前から栽培されるようになりました。葉と柔らかい茎の部分が食用とされ、ビタミン、ミネラル等を豊富に含む夏の野菜として、様々なレシピで楽しむ方が増えています。

しかし一方で、モロヘイヤの種子には、強心配糖体(強心作用のある成分)が含まれることが知られ、めまいや嘔吐などの中毒症状を起こすので、摂取しないよう注意が必要です。過去に報告された事例では、平成8年、長崎県の農家で実の付いたモロヘイヤを食べた牛が死亡したというものがあります。

モロヘイヤの強心配糖体は、成熟した種子に最も多く含まれるほか、成熟種子のさや、成熟過程にある種子、発芽からしばらくの間の若葉などにも含まれますが、収穫期の葉、茎、根、並びにつぼみ発生期の葉、茎、根、つぼみには含まれないことが報告されています。また、野菜として市販されているモロヘイヤ、モロヘイヤ健康食品、モロヘイヤ茶などについても、強心配糖体は検出されないとの報告があります。

家庭菜園などでモロヘイヤを栽培して食用にされている場合には、葉を収穫する際に、種子やそのさやが混入しないように十分注意してください。また、市販の種子には強心配糖体が含まれますので、子供などが誤って口に入れないようにきちんと管理するようにしましょう。

 

(参考)

・食品安全委員会 「食の安全ダイヤル」に寄せられた質問等Q&Aから (IV-16 モロヘイヤ)

http://www.fsc.go.jp/dial/dialqa201704.html

・農研機構「モロヘイヤの毒性について」:http://www.naro.affrc.go.jp/org/niah/disease_poisoning/jute.html