塩は、塩化ナトリウム(NaCl)を主成分とする調味料です。市販されている塩は、塩化ナトリウムの含有割合が90%以上のものが多く、ほかに、カルシウム、マグネシウム、カリウムなどが微量に含まれています。塩分は摂り過ぎると高血圧になると言われていますが、これからの時期の熱中症予防には塩分と水分の摂取も必要です。

 

私たちが摂取した塩分は、体内でナトリウムと塩素に分かれて吸収されます。ナトリウムの体内分布は、その約50%が「細胞外液」と呼ばれる細胞の外側にある液体(主に血漿)に存在し、次いで約40%は骨に含まれています。

ナトリウムが私たちの体内で果たしている主な役割は2つあり、細胞の浸透圧を維持することと、神経伝達や心筋の収縮に関することです。また、塩素も、細胞外液にあって浸透圧の調整に作用するほか、胃液として食物の消化を助ける等の働きをしています。

このように、塩分は私たちの体の健康の維持のためにはなくてはならないものです。

 

一方、ナトリウムの摂取量は、高血圧と関連する因子の一つです。高血圧は脳卒中などの種々の健康障害をもたらします。これらを低減するため、日本では、食塩の1日当たりの目標量(食塩相当量)が設定されています。18歳以上の場合、男性8g未満、女性7g未満が目標量です。私たちは、現在、1日に平均10g程度の食塩を摂っていますが、できるだけこの目標量に近づくことを目指すべきと考えられています。

 

  なお、カリウムは、ナトリウムの代謝にとって拮抗的に働きます。そのため、カリウムを多く含む野菜や果物の摂取は、ナトリウムの排泄を増やすことになります。ただし、腎臓の良くない方は、カリウムの摂取を制限しなければならない場合があり、注意が必要です。

塩分の役割や自分のおおよその塩分摂取量を知ったうえで、バランスの良い食事を摂ることが大切です。

 

(参考)

・食品安全委員会;「平成28年度リスクアナリシス(分析)講座(地方開催)」 平成28年6月24日「塩と健康〜あなたの塩分摂取量は大丈夫?〜」:

http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20160624ik1&fileId=030

・厚生労働省;「日本人の食事摂取基準(2015年版)」:

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/syokuji_kijyun.html