6月24日(土)と25日(日)に、富山県の飲食店で食事をした2グループの18名が、おう吐や下痢等の食中毒とみられる症状を呈しているとの届出が保健所にあり、患者の検体からはクドア・セプテンプンクタータという寄生虫が検出されました。現在、全員が快方に向かっているとのことです。

 

 クドア・セプテンプンクタータ(以下、「クドア」とします。)は、2010年に報告された新種のクドア属粘液胞子虫で、10㎛程度の大きさの花びらのような形をしています。ヒラメの筋肉中に寄生しますが、寄生されたヒラメには肉眼でわかるような変化がないため、気付かずに食べてしまって、食中毒を起こす可能性が高くなります。

 クドアがたくさん(1千万個)寄生したヒラメを生で食べた場合、食後2~20時間程で一過性のおう吐や下痢等を起こします。症状は比較的軽く、多くの場合、発症から24時間以内に自然回復し、予後は良好で後遺症や重症例、死亡例の報告はありません。

 クドアによる食中毒の予防方法として最も有効なものは、ヒラメの「冷凍処理」と「加熱処理」です。

・冷凍処理:-20℃で4時間以上または-80℃で2時間以上冷凍する

・加熱処理:中心部を75℃以上で5分以上加熱

 

 生産段階においては、2012年に農林水産省が国内ヒラメ養殖場におけるクドア食中毒防止対策を通知して、養殖場等において種々の取組が行われるようになっており、2013年以降、国内産養殖ヒラメを原因とする食中毒は極めて少なくなっています。

 食品安全委員会では、自ら評価(*)案件としてクドア属粘液胞子虫を取り上げ、2015年11月に評価結果をとりまとめました。詳細は、以下からご覧いただけます。

*自ら評価:厚生労働省や農林水産省の要請に基づいて行うのではなく、食安委自ら選定して行うリスク評価

 

富山県庁の報道発表

http://www.pref.toyama.jp/cms_press/2017/20170629/00022765.pdf

 

ヒラメの Kudoa septempunctata に係る食品健康影響評価について

http://www.fsc.go.jp/fsciis/evaluationDocument/show/kya20151110862

 

季刊誌「食品安全」第46号

http://www.fsc.go.jp/visual/kikanshi/k_index_back_number_46.data/vol46_02_03.pdf