うっとうしい梅雨時には身の回りのかびが気になりますね。かびは微生物の一種で、非常に種類が多く、中には、発酵食品作りに役立つかびや、産生する抗生物質などが医薬品として利用される有益なかびもあることは、ご存じのとおりです。一方で、かび毒と呼ばれる有害な化学物質を作り出し、人や動物の健康に影響を及ぼすかびも数多くあります。

  食品に生えているかびは、目に見えることもありますが、かび毒が含まれているかどうかは、見た目では分かりません。一般に、かび毒は熱に強く、加工・調理しても毒性がほとんど減らないので、家庭でできるかび対策は、かびが生えているものは食べないことです。見えているかびの部分を取り除いても、かび毒が残っているおそれがありますのでご注意ください。特に、高温多湿となるこの季節には、食品は、適切な方法で保存し、なるべく早く食べ切るようにしましょう。

  日本では、特定のかび毒(小麦中のデオキシニバレノール、リンゴ果汁中のパツリン、及び、農産物を含むすべての食品中のアフラトキシン)について、厚生労働省によって基準値が設定されており、農産物のかび毒含有実態調査や輸入食品のかび毒検査等が、農林水産省及び厚生労働省によって実施されていますので、汚染度の高い農産物や食品が市場に出回ることはありません。

  下表に、食品安全委員会がこれまでにリスク評価を行った4種類のかび毒の概要を示します。詳細は、参考として挙げた季刊誌の記事で、ご覧いただけます。

 

(参考)
・食品安全委員会 季刊誌「食品安全」vol.19 p4〜5 「かび毒(総アフラトキシン)のリスク評価」:
http://www.fsc.go.jp/sonota/kikansi/19gou/19gou_3.pdf
・食品安全委員会 季刊誌「食品安全」vol.26 p3〜4「かび毒デオキシニバレノール、ニバレノールのリスク評価」:http://www.fsc.go.jp/sonota/kikansi/26gou/26gou_3.pdf

・食品安全委員会 季刊誌「食品安全」vol.37 p4 「かび毒オクラトキシンAの評価」:

https://www.fsc.go.jp/sonota/kikansi/37gou/37gou_4.pdf

・農林水産省 かび毒情報:http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/kabidoku/

・食品安全委員会 「食の安全ダイヤル」に寄せられた質問等Q&Aから (IV-20 かび毒):

https://www.fsc.go.jp/dial/dialqa201704.html