最近、「アニサキス症」という言葉をよく耳にしませんか。アニサキスは魚介類に寄生する寄生虫で、人が魚介類を生で食べたり、食酢処理、塩漬等による非加熱の加工品(魚やイカなど)を食べたりすることで体内に入り、胃壁や腸壁に刺入して激しい痛みなどの食中毒症状引き起こします。これがアニサキス症です。厚生労働省の統計では最近、アニサキス症の発生件数が急増しています。本日は、アニサキス症とその予防方法についてお知らせします。

 

●アニサキスとは

 アニサキスはアニサキス亜科幼虫の総称で、もともとはクジラ、イルカなどの海棲哺乳類の胃に寄生する寄生虫(線虫)です。海中に放出された卵が孵化して、オキアミに食べられ、さらにそれを捕食したサバなどの魚やイカに寄生します。

        

●アニサキス症

 アニサキスが寄生した魚介類を生で食べたり、食酢処理、塩漬等による非加熱の加工品(魚やイカなど)を食べたりしたことにより、アニサキスがヒトの胃壁や腸壁に刺入して引き起こす寄生虫症をアニサキス症といいます。

 生食後1~2時間で発症し、感染から約3週間以内でアニサキスは自然に消化管内から消失します。

 アニサキス症の多くは胃に刺入する急性胃アニサキス症で、食後数時間~十数時間後に、みぞおち辺りの激しい痛みや悪心・嘔吐などを発症します。もっとも効果的な治療法は虫体を摘出することです。

 また、アニサキスの再感染がアレルギー反応を起こす可能性が指摘されています。

 

●予防方法

 アニサキスは60℃では1分で、70℃以上では瞬時に死滅するので、加熱調理をすれば安心です。また、冷凍すると感染性が失われるので、-20℃以下で24時間以上の冷凍処理が有効です。

  酸には抵抗性があり、シメサバのように一般的な料理で使う程度の食酢での処理で死ぬことはありません。また、塩漬けにしたり、醤油やわさびを付けてもアニサキスが死ぬことはありません。アニサキスは、目に見える大きさです。少し太い糸のように見えたり、それらが丸まってリング状に見えるため、調理の際には、よく見てアニサキスを確認することも有効です。

 アニサキスは宿主である魚やイカが死亡すると、内臓から筋肉部位に移動するため、漁獲後速やかに内臓を除去することも有効です。

 

  食品安全委員会のホームページに「アニサキス症」のファクトシート等の関連情報を掲載していますので、関心がおありの方はぜひご覧ください。

 

ファクトシート

http://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_anisakidae.pdf

※ファクトシート

現時点での科学的知見を整理し、広く情報提供することを目的として作成する概要書。

 

寄生虫による食中毒にご注意ください

https://www.fsc.go.jp/sonota/kiseichu_foodpoisoning2.html