カレーの再加熱は十分におこなってください!

~東京都、滋賀県等で発生したカレーを原因とするウエルシュ菌による食中毒について~

 

東京都世田谷区及び滋賀県を中心とする地域で、カレーを原因食品とするウエルシュ菌による食中毒が発生しています。
■東京都の発表(3月17日)では、患者は、世田谷区の私立幼稚園の園児、教職員76名で、腹痛、下痢、おう吐等の症状を呈しました(同区世田谷保健所の3月17日時点の調査結果)。原因食品は、3月8日の昼食として提供されたカレーライスとしています。
≪参考≫東京都「食中毒の発生について」

http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/03/17/12.html
■滋賀県の発表(3月21日)では、患者は滋賀県内9市町の51名、三重県内19名、京都府内の7名の計77名が腹痛、下痢の症状があり、全員快方に向かっているとのことです(滋賀県草津保健所の3月21日時点の調査結果)。原因食品は、滋賀県守山市内の弁当調製施設の提供した給食弁当とともに供されたカレーとしています。

 

食品を取り扱う業者の皆様におかれましては、衛生管理の見直しを行い、衛生的な作業手順の徹底に努めていただきますようお願いします。
また、下記を参考に、業者をのみならず、ご家庭においても、ウエルシュ菌の食中毒の予防に努めましょう。食品安全委員会からも「食中毒予防の三原則について」と題してe-マガジンを配信しておりますので、是非ご一読ください。予防対策のポイントを紹介しています。【以下「抜粋(一部修正)」】

 

◆◆◆生活の中の食品安全 −食中毒予防の三原則について− その2◆◆◆
(食品安全委員会e-マガジン【読み物版】 平成28年8月26日配信「抜粋(一部修正)」)

 

■ 料理の再加熱も十分に −特に前日に作った煮物やカレー
しっかりと加熱しても、熱に強い芽胞(注1)を作ることで生き残る菌があることを覚えておいてください。このような菌によってしばしば起こる食中毒として、前日に作った煮物やカレーによるウエルシュ菌による食中毒があります。
ウエルシュ菌は、酸素のある所では増殖しにくい性質(嫌気性)がありますが、例えば、底の深い鍋で煮込むカレーなどは、鍋底に近い、酸素が少なくなりがちな部分が増殖する絶好の環境となります。
そして、生き残った熱に強い芽胞(注1)状態のウエルシュ菌が、一晩、室温に置かれている間にウエルシュ菌の増えやすい温度となり、芽胞(注1)から発芽し、増殖することによって食中毒が発生することがあります。このような料理は、翌日、食べる前に再加熱しても、加熱が不十分な場合には増殖した菌によって食中毒が引き起こされます。
前日にしっかりと加熱調理をした場合でも安心せず、具材にむらなく十分に火が通っているくらいの再加熱が必要です(注2)。

 

(注1)  芽胞(がほう):ウエルシュ菌やボツリヌス菌などの特定の細菌において、栄養の不足や乾燥などの発育に適さない環境でなくなると、「芽胞」と呼ばれる構造物を作り、増殖をやめて休眠状態となります。その中で菌は加熱や乾燥に耐えて生残し、増殖に適した環境下におかれると発芽し増殖します。
(注2)  具材も含めて75℃以上をめやすとして加熱。

 

≪参考≫
・食品安全委員会;ファクトシート「ウエルシュ菌食中毒」

https://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/03clostridium.pdf
・食品安全委員会;「ウエルシュ菌による食中毒」
http://www.fsc.go.jp/sonota/clostridium_perfringens_e1.pdf
・食品安全委員会;e-メールマガジン【読み物版】
 [生活の中の食品安全 −食中毒予防の三原則について− (食品安全委員会委員 熊谷 進)その2] 平成28年8月26日

https://www.fsc.go.jp/e-mailmagazine/mailmagazine_h2808_r2.html