━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】
生活の中の食品安全 -ノロウイルス食中毒に気を付けよう [2]

平成28年12月22日配信
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
前回(12月16
日配信)のe-マガジン【読み物版】では、ノロウイルスに関する基本的な情報をお届けしました。
今号では、ノロウイルス食中毒に関するQ&Aをお送りします。

 

Q1 ノロウイルスによる食中毒は、年間に何件ぐらい発生しているのでしょうか。また、患者数はどのくらいでしょうか。
Q2 ノロウイルスは感染しやすいと聞きますが、どうしてでしょうか。
Q3 ノロウイルス食中毒の原因食品は、どのようなものが多いのでしょうか。
Q4 ノロウイルス食中毒の予防対策について教えてください。

 

Q1 ノロウイルスによる食中毒は、年間に何件ぐらい発生しているのでしょうか。また、患者数はどのくらいでしょうか。
A1 ノロウイルスによる食中毒は、例年、事件数、患者数とも高い値で推移しています。
2015年(平成27年)は、事件数481件、患者数14,876人で、ともに、食中毒の原因の中で第一位でした。事件数では、食中毒全体(1,202件)の40.0%、患者数では食中毒全体(22,718人)の65.5%を占めました。

 

ノロウイルス食中毒では1事件当たりの患者数が比較的多いため、特に、患者数については、10年間以上にわたって、食中毒原因の一位となっています。

 

Q2 ノロウイルスは感染しやすいと聞きますが、どうしてでしょうか。
A2 ノロウイルスは、非常に小さなウイルスであり、また、少量のウイルスが口に入っただけでも感染するとされています。感染した人の手洗いが不十分だと手や指にノロウイルスが残り、それが食品などを汚染し、食中毒の原因となる場合があります。
 

また、患者は症状が治まってもしばらくの間ノロウイルスを便中に排出し続けます。感染しても症状がでない不顕性感染者もいます。ノロウイルスに感染している自覚がないまま、気付かないうちに食品や環境を汚染し、さらなる二次感染を起こしやすいことも問題となっています。

 

Q3 ノロウイルス食中毒の原因食品は、どのようなものが多いのでしょうか。
A3 ノロウイルスは、食品から直接ウイルスを検出することが難しく、食中毒の原因食品を特定できないケースが少なくありません。昨年(2015年)でも、事件総件数481件のうち約7割が特定できていません。ウイルスに感染した食品取扱者を介して、食品が汚染されるケースも多いと考えられます。
 

原因食品を特定できたケース(昨年:約120件)では、ノロウイルスに汚染された二枚貝などがあります。昨年は、ノロウイルス食中毒事件半数以上(68件)で、二枚貝が原因食品となっていました。二枚貝は、海中で大量の海水を取り込みますが、その際に、海水中のウイルスも取り込まれ、体内で濃縮されるためと考えられています。
 

ノロウイルスで汚染された二枚貝による食中毒は、生や十分に加熱調理しないで食べる場合に発生します。二枚貝は十分に加熱調理する(中心温度85~90℃で90秒間以上)ことにより、安全に食べることができます。

 

Q4 ノロウイルス食中毒の予防対策について教えてください。
A4 予防対策のポイントは、(1) 食品の加熱をしっかりと、(2) 手洗いの励行、(3)煮沸や塩素による調理器具の消毒、の3点です。
 

これらの点について、下記を参考にしてください。
■加熱が必要な食品は中心部(中心温度85〜90℃で90秒間以上)までしっかり加熱する。


■食事の前やトイレの後などには、必ず石けんでよく手を洗う。
 

■熱湯や煮沸による消毒が可能なまな板、食器、ふきんなどは、熱湯、煮沸により消毒する。

また、次亜塩素酸ナトリウム(※)(塩素濃度200ppm)で浸すように拭いて消毒することも有効。
 

■大量の調理をする施設の場合、下痢やおう吐などの症状がある従事者は、食品を直接取り扱う作業を行わない。
 

■患者は、症状が治まった後も1週間から1か月程度はウイルスを便中に排出するとされているので、感染を拡大させないよう注意します。この期間は、食品を直接取り扱うことは避けた方がよいでしょう。

 

※ 次亜塩素酸ナトリウム消毒液(塩素濃度200ppm)の作り方
市販の塩素系漂白剤(塩素濃度約5%)の場合、250倍希釈して作ります(例:5Lの水に漂白剤を20ml入れる)。なお、塩素系の漂白剤でなければ効果的な消毒はできません。漂白剤を使用する際は、使用方法を守り、塩素系のものと酸素系のものを混ぜたり、熱湯で使わない(消毒効果が低下します)ようにしましょう。

 

≪参考≫
・食品安全委員会;「食中毒予防のポイント ノロウイルスによる食中毒にご注意ください」

http://www.fsc.go.jp/sonota/e1_norovirus.html
・厚生労働省;「食中毒の原因(細菌以外) ノロウイルス」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/03.html
・国立感染症研究所感染症情報センター;「ノロウイルス感染症」
http://idsc.nih.go.jp/disease/norovirus/index.html