神奈川県内において、冷凍メンチによる腸管出血性大腸菌O157を原因とする食中毒を疑う事案が17件(11月1日現在)発生しました。
神奈川県の発表では、それぞれの事案において、同じ販売者の冷凍メンチを家庭で調理して食べていたことが判明したとのことでした(※)。
※ 神奈川県「腸管出血性大腸菌O157の食中毒を疑う事案について」
http://www.pref.kanagawa.jp/prs/p1082403.html
腸管出血性大腸菌O157は、加熱や消毒により死滅します。
食肉は中心部まで75℃で1分間以上加熱する、野菜類はよく洗浄する、調理器具の消毒などの対策を徹底することで予防できます。
食品安全委員会からは、
O157に関する基本的情報を e-マガジン【読み物版 [臨時号]】・「腸管出血性大腸菌O157関連」
http://ameblo.jp/cao-fscj-blog/day-20160912.html
において配信しています。是非ご一読ください。
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内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版「臨時号」】
[腸管出血性大腸菌O157関連]平成28年9月12日配信
(※平成28年4月27日及び4月28日配信記事等関係記事再配信)
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この7月から8月にかけて、千葉県、東京都、沖縄県において「腸管出血性大腸菌O157」による食中毒が発生し、死亡者も出ています。このため、今年(平成28年)4月に配信した「あなどるなかれ食中毒~腸管出血性大腸菌やカンピロバクターを中心に~」などから、腸管出血性大腸菌についての関連記事(基本情報、Q&A)を再配信します。
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◆腸管出血性大腸菌とは◆
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腸管出血性大腸菌は、赤痢菌の毒素と類似の毒素をつくる大腸菌の一種です。ウシなどの家畜の腸や、ヒトの糞便中に時々見つかります。
O157始め、O26、O103、O111など多くの型があります。最近では、2011(平成23)年、O157とO111による、ユッケを原因とした事件で5名の死者が出ています(富山県を中心に患者数181名)。
また、2014(平成26)年に、静岡県で発生した冷やしキュウリが原因ではないかとされる事件では、患者数510名という大規模なものとなりました。
■感染源
腸管出血性大腸菌は、動物の腸管内に生息することから、糞(ふん)尿を介して食品、飲料水を汚染します。
なお、家畜は症状が出ないことが多く、外見からは菌を保有しているか否かの判別は困難です。
我が国の場合、感染源として、牛レバー、牛肉、野菜の浅漬け、井戸水等の例が報告されています。
■症状
感染後1~10日間の潜伏期間があり、初期に感冒様症状(かぜ様症状)があり、その後、激しい腹痛と大量の新鮮血を伴う血便がみられます。発熱することは、あまりありません。
ただし、実際の患者数は多くありませんが、乳幼児や高齢者で、溶血性尿毒性症候群(HUS)を併発し意識障害に至る等重症になる場合があります。
■予防策
加熱や消毒により死滅するため、食肉は中心部まで十分加熱する(75℃で1分以上)、野菜類はよく洗浄する、調理器具の消毒などの対策を徹底することで予防できます。
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◆食中毒予防の三原則◆
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食中毒予防の三原則は、「つけない」・「ふやさない」・「やっつける」です。
さらに、食中毒予防で特に注意するべき6つのポイントをピックアップしました。
・(ポイント1) 食品の購入: 肉・魚は肉汁などの水分がもれないように、それぞれ分けて包んで持ち帰る。
・(ポイント2) 家庭での保存: 冷蔵庫で肉・魚は汁がもれないように包んで保存。
・(ポイント3) 下準備: 生の肉や魚を切った後は、包丁やまな板を洗って熱湯をかけた後に使う。
・(ポイント4) 調理: 加熱して調理する食品は十分に加熱(カンピロバクター対策は65℃以上で数分間、腸管出血性大腸菌対策は75℃、1分以上)。
・(ポイント5) 食事: 食卓に付く前に手を洗う、食品は室温で長く放置しない。
・(ポイント6) 残った食品:残った食品はきれいな器具・皿で保存、残った食品を温め直す時も十分加熱。
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◆Q&A◆
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Q1 食中毒にならないために、食材をどのくらい加熱すればよいですか?
A1 食材についている腸管出血性大腸菌やサルモネラは、75℃で1分以上、カンピロバクターは65℃で数分間の加熱で死滅します。加熱調理(中心部を75℃で1分以上)を行えば、菌を死滅させることができます。
目安として、お肉は中心部のピンク色(生の肉の色)が変わるまで、しっかり加熱しましょう。
Q2 腸管出血性大腸菌(O157)は、他の食中毒より重症になりやすいのですか?
A2 腸管出血性大腸菌に感染すると、腸の中で毒力の強いベロ毒素を作り出し、激しい腹痛と大量の新鮮血を伴う血便などの重篤な症状が発症します。
さらに重症化すると溶血性尿毒症症候群(※HUS)などの合併症を引き起こすのが特徴です。HUSは腸管出血性大腸菌感染者の約10~15%に発症し、HUS発症者の約1~5%が死亡するとされています。
お子さんやお年寄りは、重症化してHUSを発症しやすいので特に注意が必要です。
※溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome :HUS)
溶血性貧血、血小板減少、急性腎不全を3主徴とする症候群で、腸管出血性大腸菌感染症に引き続いて発症することが多く見られます。
≪参考≫
・食品安全委員会;「食品を科学する―リスクアナリシス(分析)連続講座」 あなどるなかれ食中毒~腸管出血大腸菌やカンピロバクターを中心に~
https://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20151008ik1
・厚生労働省;腸管出血大腸菌Q&A
http://www1.mhlw.go.jp/o-157/o157q_a/
・厚生労働省;家庭でできる食中毒予防の6つのポイント
http://www1.mhlw.go.jp/houdou/0903/h0331-1.html