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内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】

バーベキューやピクニックでの食中毒にご注意ください [その1]

平成28年7月21日配信
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これからの時期は、海や山でのバーベキューやピクニックなどで、外で調理、飲食する機会が増える季節です。その一方で、気温や湿度が高く、食中毒の原因となる細菌が増殖しやすい季節でもあります。

今月は、食中毒を予防して、レジャーやイベントを楽しく過ごすために気を付けることをお伝えします。


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1. 細菌性食中毒予防のポイント
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食中毒の原因となる細菌には、腸管出血性大腸菌、カンピロバクター、サルモネラ属菌、腸炎ビブリオ、黄色ブドウ球菌などがあります。こうした細菌による食中毒の予防のポイントは、次の3点です。


■「つけない」(食材にさわる前、さわった後は手をよく洗う(手洗いは石けんを使って15秒以上!!))。


■「増やさない」(細菌が増殖しないように低温保存(10℃以下)に努める。)。


■「やっつける」(生の食材には十分に火を通す。)。


例えば、気温が高い中、自家用車で食材を運ぶ時などは、クーラーボックスや保冷剤、氷を入れた容器などを利用してください。
また、野外での食事では、おにぎりやスペアリブなどの手づかみで食べる料理も多いと思います。野外でも、食事の際は手をよく洗ってください。特に調理を担当する人は、しっかりと手を洗ってください。


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2. 生肉、生の魚介類などによる食中毒に特に注意!
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バーベキューなどでは、食材として生肉、生の魚介類などを調理することが多いと思います。このような食材が十分に加熱されなかった場合には、食中毒の原因となることも多いことから、その予防のために次のポイントに特に注意してください。


■生肉や生魚を加熱不十分な状態で食べない。生野菜などにはくっつけない。


■細菌・ウイルス・寄生虫は加熱により死滅します。生肉やレバーなどの内臓肉は中心部まで十分に加熱する。


■生肉や生魚などを扱ったトング、箸などは、焼き上がった肉やサラダなどを食べるときは使わない。重要なことは、「生の食材には十分に火を通すこと」です。


焼く料理の十分に加熱できた目安は、中心まで色が変わっているかです。また、スープ状のものはよくかき混ぜてまんべんなく沸騰させます。なお、食材を扱った器具・容器で調理後の料理を扱うと、せっかく加熱して死滅させた食中毒原因菌を再び付着させることになります。生の食材に触れた箸、トング、皿は、調理後の料理の取り分け、盛り付けや食べるときには使わないようにしてください。そのため、十分な数量を持っていくことです。


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3. おにぎりは、黄色ブドウ球菌による食中毒に特に注意!
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黄色ブドウ球菌は、ヒトを始め多くの動物が持っている菌です。ブドウ球菌自体の耐熱性は高くはありませんが、エンテロトキシンという毒素を生成し、その毒素の働きは通常の加熱調理では失われることはありません。おにぎりなどを気温が高い中、長時間放置すると、この黄色ブドウ球菌が繁殖します。この黄色ブドウ球菌による食中毒予防のポイントは以下の3つです。


■おにぎりを握るときはラップ、ビニール手袋などを使う。


■切傷などのけがをした手で食材を触らない。また、絆創膏(ばんそうこう)を使用している場合も同じです。


■おにぎりなどを気温が高い中、車中やバックの中に長時間放置しないこと。こうした場合は、クーラーボックスや氷を入れた容器などを利用してください。


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4. 加熱不十分なお肉による食中毒を予防するポイント
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お肉の加熱不足は食中毒の主な原因です。特に次のポイントを知っておきましょう。


■牛肉(※)や牛のレバー、豚肉や豚の内臓を生食用として販売・提供することは禁止されています。牛肉や牛のレバー、豚肉や豚の内臓は、腸管出血性大腸菌やE型肝炎ウイルス等で汚染されていることがあります。
※ 食品衛生法で定められた基準を満たす一部の牛の食肉(内臓は除く)を除いて、生食が禁止されています。


■ジビエ(野生鳥獣の肉)は、E型肝炎ウイルスや寄生虫により、肉の内部まで汚染されている可能性があります。


■鶏の生肉の67%に、カンピロバクターの付着がみられるというデータもあります。鶏肉を生、半生で食べることは避けてください。


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5. ジャーサラダに注意!
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最近、生の野菜にドレッシングを加え、ガラス瓶に詰めた「ジャーサラダ」が話題となっています。
これは、(1) 酢(酸性)に漬け込んだピクルスや塩に漬け込んだ野菜の漬物に比べると、pHや塩分濃度の面で細菌が繁殖しやすいこと、(2) ガラス瓶を熱湯で殺菌したとしても、生の野菜は殺菌されていません。そのため、野菜に付着した細菌がガラス瓶の中で増殖する可能性があり、保存ができるものではありません。生の野菜を使ったサラダやカット野菜と同じものと考え、早く食べきるようにしてください。


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6. おわりに
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せっかくのバーベキューやピクニック中、健康を害してしまっては台なしです。楽しい時間を過ごすためにも、少しの手間をいとわず、食中毒予防をしっかりしましょう。


・食品安全委員会;食中毒予防のポイント「バーベキューやピクニックでの食中毒にご注意ください」
https://www.fsc.go.jp/sonota/e1_bbq_food_poisoning_e2.html


◆お知らせ◆
去る6月17日付けで当委員会の姫田事務局長が退任し、川島新事務局長が着任しました。
食品安全委員会は、新たな局長を迎え、今後ともより良いリスク評価、リスクコミュニケーションに
取り組んでいきます。


・食品安全委員会:公式フェイスブック(6月20日投稿「姫田事務局長が退任、川島新事務局長が着任」)
https://www.fsc.go.jp/sonota/sns/facebook.html