かつお節の製造工程には煙で燻す工程があります。その際にベンゾピレンなどの多環芳香族炭化水素類(PAHs)が生成します。国際機関であるJECFAは、PAHsについて、食事からの推定摂取量を考慮すれば健康への懸念は低いとしています。


しかし、EUは、汚染物質を無理なく可能な範囲でできるだけ低くするとの考え(ALARAの原則)から、食品中のPAHsの基準を定めました。そこでは、「一般の燻製品の基準」とそれよりも値の高い「一部の伝統的な燻製品の基準」が設定されています。EUは、2014年9月に「一般の燻製品の基準」を引き下げました。そうすると、かつお節は、「伝統的な燻製品」の基準は満たすのですが、「一般の燻製品」の基準を超えてしまうのです。


そこで、日本政府は、かつお節の伝統的な製造工程では「一般の燻製品」の基準を超えてしまうとの科学的根拠を提出したのです。その結果、かつお節には「伝統的な燻製品」の基準が適用されることになりました。(7月11日官報掲載。20日後に施行。)


かつお節のPAHsについて科学的なデータを揃えるのは大変だったと思います。日本で尽力された方に感謝。


(参考)
欧州連合(EU)、かつお節等に対する多環芳香族炭化水素類の基準値を引き上げ
http://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu04300060305

ファクトシート 食品に含まれる多環芳香族炭化水素類(PAHs)
http://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/f05_pahs.pdf


かつお節