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内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】
[食べものに関わる「単位」 その2]平成27年8月14日配信
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前回(8月6日配信)のe-マガジン【読み物版】では、重さや濃度など、食品に関する「単位」などについてご紹介しました。
今号では、「単位」に関するQ&Aをお送りします。
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1.食品の「単位」に関するQ&A
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Q1 栄養成分は、g(グラム)、mg(ミリグラム)、μg(マイクログラム)など、いくつかの単位によって表示されていますが、どうしてなのですか?
A2 栄養成分によって含まれている量が違うことから、どの成分はどの単位で表示するのかが、栄養表示基準で決められています。たんぱく質、脂質、炭水化物、食物繊維などはg、カルシウム、鉄、ビタミンEなどはmg、ビタミンA、ビタミンDなどはμgで表示することになっています。
なお、一部のビタミンは、生体に対する効果を示す単位であるIU(インターナショナル・ユニット)が使われることがあります。ビタミンAの場合、1IUは、0.300μgに相当します。
Q2 食品のエネルギー量(熱量)や、含まれている栄養成分、塩分を計算することはできますか?
A2 食品の袋や箱などに、エネルギー、たんぱく質、脂肪、ナトリウムなどの栄養成分が表示されていれば計算ができます。気を付けなければならないことは、それらの数値が、100g当たりなのか、1箱当たりなのかを確認して、実際に食べる量に換算することです。
例えば、ペットボトル(500ml)に、「エネルギー50kcal(100ml見当)」と表示されている場合、1本の熱量は250kcal(50kcal×500ml/100ml)となるので注意が必要です。
また、食品に含まれる食塩量(塩分)を計算したい場合には、表示されているナトリウムの量からおおよその食塩量を計算することができます。ナトリウム(Na)の原子量は約23、食塩(塩化ナトリウム:NaCl)の分子量は約58.5ですから、食塩量はナトリウムの量のおよそ2.5倍となります。
「ナトリウムの量(mg)×2.5÷1,000=食塩(塩化ナトリウム)の量(g))」に当てはめると食塩量(g)が分かります。
Q3 農薬や動物用医薬品の残留が〇ppm(ピーピーエム)とよく聞きますが、ppmとは何ですか?
A3 ppmは、濃度(割合)の単位で、「100万分の1(parts per million)」を表しています。%が「百分の一」ですので、1ppm=0.0001%となります。1t(1,000kg)の塩水に1gの塩が含まれているときの濃度が1ppmです。例えば「みかんから農薬が3ppm検出された」というと、みかん1kgに農薬が3mg含まれていることを示します。ppmは濃度(割合)なので、1g/1,000kgの単位の分母と分子を1,000で割って、mg/kgに置き換えることができることを覚えておくと、実際に食べる量に換算しやすくなります。また、ppmは、消毒液の塩素濃度にも使われています。ノロウイルスについて、器具の消毒に使用する次亜塩素酸ナトリウムは、塩素濃度200ppmのものを使用しています。
Q4 〇mg(ミリグラム)や〇ml(ミリリットル)という単位をよく見かけるのですが、このm(ミリ)はどういう意味があるのですか?
A4 mgやmlのm、μgのμ、kgやkmのkなどは、単位接頭辞(※)と呼ばれています。mは、1,000分の1を示しています。よって、1mgは1gの1,000分の1、1mlは1l(リットル)の1,000分の1を表します。
※単位接頭辞:重さ、長さ、時間などを表す際に、数の大きさや小ささを表すために補助的に使う単位のこと。(以下、参考)
-数値が大きくなるにつれて-
K(キロ):千倍(例:1kg=1,000g)
M(メガ):百万倍(例:1MB(メガバイト)=百万B(バイト))
G(ギガ):十億倍(例:1GB(ギガバイト)=十億B)
T(テラ):一兆倍(例:1TBq(テラベクレル)=一兆Bq(ベクレル))
(G(ギガ)やT(テラ)は、パソコンなどの記憶容量の単位として使われているので、知っている方も多いと思います。)
-数値が小さくなるにつれて-
m(ミリ): 千分の一(例:1mg=千分の一g)
μ(マイクロ):百万分の一(例:1μSv(マイクロシーベルト)=百万分の一Sv(シーベルト))
n(ナノ):十億分の一(例:1nm(ナノメートル)=十億分の一m(メートル))
p(ピコ):一兆分の一(例:1pg(ピコグラム)=一兆分の一g)
Q5 「mg/kg体重/日」の単位は、ADI(一日摂取許容量)とTDI(耐容一日摂取量)の両方で使われていますが、両者の違いは何ですか?
A5 ADI(一日摂取許容量)とは、食品添加物や農薬などのように、意図的に食品に使用される物質について、私たちが一生食べ続けても健康への悪影響がでないとされる一日当たりの摂取量のことです。それに対して、意図的に使用されていないにもかかわらず、食品中に存在する重金属やかび毒などの物質については、TDI(耐容一日摂取量)という用語が用いられています。
Q6 ARfD(急性参照用量)、TWI(耐容週間摂取量)の単位は何を使うのですか?
A6 ARfD(急性参照用量)は、人がある物質を24時間又はそれより短い時間に経口摂取した場合に健康に悪影響を示さないと推定される一日当たりの摂取量ですが、「mg/kg体重」を使います。
また、TWI(耐容週間摂取量)の単位は、「mg/kg体重/週」となります。