部分水素添加油脂(硬化油)とトランス脂肪酸

一般に植物の種子から生産される油は二重結合を含む不飽和脂肪酸であり液体ですが、食味を良くしたり、扱いやすくするため、水素を添加して二重結合の一部を一重結合とすることで液体から半固体や固体にする部分水素添加という処理を行います。この時トランス脂肪酸が生成します。完全に水素添加をすると、飽和脂肪酸となります。(なお、脱臭するための高温処理でもトランス脂肪酸は発生します。)

半固体や固体となった硬化油は、マーガリンやファットスプレッド、ショートニングの原料として幅広く使われています。

FDAの新たな規制は、この部分水素添加油脂(硬化油)を対象としたものであり、これまではGRAS※であったことから自由に使えたのですが、今後は申請承認制にするものです。

 ※GRAS:従来から使われており、一般的に安全であると確認されている物質。

ドイツ、英国、日本等では、トランス脂肪酸の摂取量がWHOの目標としている1%未満であることから、健康への悪影響はないとされており、EUでは表示を義務づけていません。

そして、日本の摂取量は1%未満なのですが、トランス脂肪酸の健康への影響が注目されて以降、事業者によるトランス脂肪酸を減らす自主的な取り組みが行われています。

また、トランス脂肪酸を減らす目的で完全に水素添加すると、飽和脂肪酸になります。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」は、飽和脂肪酸の摂取基準を7%以下(エネルギー比)としており、日本の一部のグループは、これを超えていることから、飽和脂肪酸の摂取量が増えると新たな問題が生じる可能性があります。

脂質自体は重要な栄養素であり、極端な制限は健康に悪影響を与えます。また、脂質に偏った食生活となっている人は注意しましょう。

(食品安全委員会)

「食品に含まれるトランス脂肪酸」評価概要

http://www.fsc.go.jp/sonota/trans_fat/iinkai422_trans-sibosan_gaiyo.pdf

「食品に含まれるトランス脂肪酸」評価書に関するQ&A

http://www.fsc.go.jp/sonota/trans_fat/iinkai422_trans-sibosan_qa.pdf

(農水省) 

トランス脂肪酸に関する情報

http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/index.html



トランス脂肪酸[3]