FDA(米国食品医薬品庁)は、トランス脂肪酸が多く含まれる部分水素添加油脂は、GRAS(従来から使われており安全が確認されている物質)ではないとして、食品に使用するためにはFDAの承認が新たに必要(2018年から)と決定しました。


※一部報道のように、トランス脂肪酸自体の食品添加を禁止したものではありません(トランス脂肪酸は食品添加物ではありません)。


トランス脂肪酸とは、脂質の構成成分である脂肪酸の一種です。WHOでは、心血管系疾患のリスクを低減し、健康を増進するための目標として、トランス脂肪酸の摂取を総エネルギー比1%未満に抑えるよう提示しています。


諸外国では、トランス脂肪酸摂取量がこのWHOの目標を超えている国や、我が国やドイツのように目標値内におさまっている国もあり、その対応は各国の状況に合わせて様々です。


日本では、大多数の国民は、WHOの目標を下回っています。脂質に偏った食事をしている人は、留意する必要がありますが、通常の食生活では、健康への影響は小さいと考えられます。


また、例えばマーガリン等におけるトランス脂肪酸の量は、銘柄にもよりますが、2010年のものは2006年のものより減少しており、低減に向けた取り組みが行われています。また、トランス脂肪酸を減らすと、元々摂り過ぎ傾向にある飽和脂肪酸を増やしてしまう可能性があります。


脂質自体は重要な栄養素でもありますが、近年は、食生活の変化により脂質の摂取過剰が懸念されており、トランス脂肪酸だけを必要以上に心配せず、脂質全体の摂取量に十分配慮し、バランスの良い食事を心がけることが大切です。


(食品安全委員会)
「食品に含まれるトランス脂肪酸」評価概要:http://www.fsc.go.jp/sonota/trans_fat/iinkai422_trans-sibosan_gaiyo.pdf
「食品に含まれるトランス脂肪酸」評価書に関するQ&A:http://www.fsc.go.jp/sonota/trans_fat/iinkai422_trans-sibosan_qa.pdf

(農林水産省)
トランス脂肪酸の低減:
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_torikumi/red.html


トランス脂肪酸[1]