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とある映画好きのブログ

気が向いたら、その日の映画関連のニュースや
見たい見に行きたい映画や鑑賞した映画のことを書いていきます。

昨年は『ラ・ラ・ランド』を見出したベネチア国際映画祭。今年のコンペティション部門に選出されていたハリウッド作品は、ドナルド・トランプ米大統領が誕生したご時世を反映したかのように、怒りの感情に裏打ちされたものが目立った。アカデミー賞前哨戦とも言われる本映画祭で、話題を呼んだ作品とは?(編集部・石神恵美子)

娘を殺害されたシングルマザーの怒り

『スリー・ビルボーズ・アウトサイド・エビング, ミズーリ(原題) / Three Billboards Outside Ebbing, Missouri』

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(C)2017 Twentieth Century Fox

 最優秀脚本賞を受賞した本作は、イギリス人劇作家にして、『ヒットマンズ・レクイエム』『セブン・サイコパス』の監督・脚本を務めたマーティン・マクドナーによるクライムドラマ。ベネチア現地&国際批評家による星取表では4.21と、金獅子賞を獲得したギレルモ・デル・トロ監督作『ザ・シェイプ・オブ・ウォーター(原題) / The Shape of Water』の4.18を上回り、事実上トップに君臨していた実力派だ。(ベネチア国際映画祭直後のトロント国際映画祭で観客賞も受賞している)

 そんな本作の主人公は娘を殺されたシングルマザーのミルドレッド。犯人を一向に捕まえない地元警察にしびれを切らし、彼女は道路沿いの大きな広告板3枚を使って、「まだ逮捕なし?」「どういうこと、ウィロビー保安官?」「死にながらレイプされた」という挑発的なメッセージを掲載する。その過激な抗議はメディアの注目の的になる一方で、彼女と警察の争いはエスカレートしていく。

 不公平な社会、つまるところ“運命”によって、登場人物たちがそれぞれに抱える憤りやもどかしさには、矛先の向けどころがなかったりする。そんなどうしようもない怒りが原動力となって突き進んでいくストーリーに、多種多様な登場人物たちを(現実でこんな具合になるかということはさておき)、パズルのピースのようにうまくはめ込んで、着地点を探っていったところが脚本の妙だろう。とりわけ、ワーキングクラスの白人女性を主人公にしたことで、階級、性別、人種における差別意識がよりはっきりと浮かび上がる。暴力描写もありダークコメディーのようなトーンの中で、重厚な人間ドラマが繰り広げられていく。怒りとどう向き合うのかを問われる、時代に呼応したエモーショナルな一作と言えるだろう。また、ミルドレッドを演じたフランシス・マクドーマンドは舌を巻く演技を披露しており、『ファーゴ』でのアカデミー賞主演女優賞受賞に続く、2度目のオスカー獲得に早くも期待が高まっている。

『スリー・ビルボーズ・アウトサイド・エビング, ミズーリ(原題)』は2018年日本公開

 

デル・トロ版“美女と野獣”!セクシュアリティーも描く大人向けダークファンタジー

『ザ・シェイプ・オブ・ウォーター(原題)』

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(C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved.

 金獅子賞に輝いた本作は、『パンズ・ラビリンス』『パシフィック・リム』などの奇才ギレルモ・デル・トロ監督の最新作。冷戦中のアメリカを舞台に、政府の極秘研究施設で清掃員として働く、声を発することのできないヒロインが、研究対象として囚われていた謎の水生生物と恋に落ちていくさまを描いたラブストーリー。

 ちょっぴりダークながらも幻想的で美しいビジュアルは、デル・トロ監督の真骨頂とも言えるだろう。全体を貫くブルートーンに、ヒロインの恋心を表現する赤が印象的に使われているなど、入念に画をつくりこんでいるのがうかがえる。ヒロインが惹かれる水生生物は、鮮やかなうろこ状の皮膚こそ違えど、二足歩行であったり、かなり人間に近い造形をしているが、不気味の谷現象(ロボットやCGを人間に寄せる過程のあるポイントで、嫌悪感を抱くようになるという現象)を起こさせないクオリティーを誇っており、人間との異種族間恋愛に真実味を持たせている

 言ってしまえば、デル・トロ版“美女と野獣”なのだが、記者会見で「“美女と野獣”には2パターンある。プラトニックに愛し合って、決してファッ*しないタイプと、その逆のタイプだ。気味が悪いというか、僕はどちらのタイプにも興味がなかった」と監督が語っていたように、恋愛の多面性を自然に描いている。ヒロインの日常の一部としてのセクシュアリティーにも踏み込んだ大人向けのダークファンタジーに仕上がっている。

 また、映画への愛にもあふれている本作では、主人公たちが住むのは映画館の上の階だったり、彼らがテレビで楽しむのは往年のクラシック映画だったりと、オマージュが盛り込まれているのもうれしいところ。

『ザ・シェイプ・オブ・ウォーター(原題)』は2018年日本公開

これぞ怪作!ダーレン・アロノフスキーにしかつくれない寓話サイコスリラー!

マザー!

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(C) 2017 Paramount Pictures. All rights reserved.

 『ブラック・スワン』のダーレン・アロノフスキー監督が、恋人となった女優ジェニファー・ローレンスと完成させたホラーサイコスリラー。自らの心臓をえぐり出すジェニファーふんするヒロインのイラストビジュアルが披露されたときもかなりの衝撃を放っていたが、本編もそれに負けない強烈さで、ベネチアの観客を二分させた。

 詩人の夫と献身的に彼を支える妻が仲睦まじく暮らしていた一軒家に、ある日訪問者がやってくる……という一応のあらすじはあるが、後半は言葉で説明できないほど、カオスな展開を迎える。それが現代社会を映しているから、恐ろしい

 アロノフスキー監督やジェニファーらがこぞって主張していたように、本作は何層にもわたって解釈の余地を残している。監督の過去作『ファウンテン 永遠につづく愛』と同様に、宗教から多数の引用をしており、登場人物がそれぞれ一体何を示しているのか、そして彼らの行動が何を示しているのか、答えのない議論を呼ぶ。そんな宗教的メタファーの一方で、「家の床にゴミを捨てられたり、カーペットにタバコで穴を開けられたりしたら、誰だってそれに気づくのに、道端に紙きれを捨てても人々は気にしない」とアロノフスキー監督が指摘していたように、あまりにも身近な“家”という概念を通して、人間のエゴイズムについても考えさせられる。国家レベルでもそれがあてはまるから、様々な問題が絶えないのだということを痛感させられる。

 また、ストーリーやテーマばかりが批評の対象になりがちだが、撮影や音響の技術も秀逸。一軒家の内部という閉ざされた空間でキャラクターを背後から追ったショットや、キャラクターたちの表情をクローズアップで捉えたショットが活かされており、序盤から「この人たち、一体何なの?」と思わされていたら、ヒロインと同期している証拠。これぞまさに体感型だ。そして後半、訪問者が次々にやってくるにつれ、速度をあげて動いていくカメラが捉える映像と、多方向から響き渡る重層的な音は、まるで悪夢のように観る者をぐねぐねと引き込んでいく。うごめく人間の欲望が一軒家に集約され、その中心に突き落とされるような感覚。レクイエム・フォー・ドリーム』『ブラック・スワン』に通じるサイコスリラー感は健在だ。

映画『マザー!』は2018年1月19日より全国公開

オスカー戦線のスタート地点であるベネチア、テルライド、トロント映画祭が終わり、アカデミー賞ノミネートを果たすであろう有力作が少し見えてきた。(Yuki Saruwatari/猿渡由紀)

『スリー・ビルボーズ・アウトサイド・エビング、ミズーリ(原題)』
『スリー・ビルボーズ・アウトサイド・エビング、ミズーリ(原題)』 - (C)2017 Twentieth Century Fox

 現在のところ作品賞の候補になりそうなのは、トロントで観客賞を受賞した『スリー・ビルボーズ・アウトサイド・エビング、ミズーリ(原題) / Three Billboards Outside Ebbing, Missouri』と、ベネチアで金獅子賞に輝いた『ザ・シェイプ・オブ・ウォーター(原題) / The Shape of Water』。トロントで観客賞を受賞した作品がオスカーでも健闘するケースは非常に多く、近年も『それでも夜は明ける』『英国王のスピーチ』『スラムドッグ$ミリオネア』などがトロントとオスカーの両方を制覇している。

 『スリー・ビルボーズ~』は、残酷な形で娘を殺された母が、捜査が進まないことにいらだち、警察に喧嘩を売るという辛辣なコメディー。ベネチアでも脚本賞を受賞しており、マーティン・マクドナーはオスカーでも脚本賞の候補に入りそう。フランシス・マクドーマンドの主演女優賞、サム・ロックウェルの助演男優賞ノミネートも期待できる。

『ザ・シェイプ・オブ・ウォーター(原題)』

『ザ・シェイプ・オブ・ウォーター(原題)』 - (C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved.

 『ザ・シェイプ・オブ・ウォーター(原題)』も、トロントでも受けは最高に良かった。ホラー、ロマンス、さらに社会性をも反映させたオリジナリティーあふれる傑作で、監督賞(ギレルモ・デル・トロ)、作品賞、脚本賞、主演女優賞(サリー・ホーキンズ)の候補になりそうだ。助演男優賞(リチャード・ジェンキンス)もありえる。ただデル・トロらしく、主人公の一人がクリーチャーで、バイオレンスやセクシャルなジョークもあるため、頭のかたいアカデミーが賞をあげるところまでいくかどうかは疑問だ。

『ダーケスト・アワー(原題)』
『ダーケスト・アワー(原題)』 - Courtesy of TIFF

 同じ出来事を別の方向から書いた歴史もの二作品も、有力。一つは興行面でも大成功したクリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』。もう一つは、その時のチャーチル首相を描く『ダーケスト・アワー(原題)/ Darkest Hour』だ。『ダンケルク』では、ノーランがついに監督賞初ノミネートとなるかどうかが注目される。『ダーケスト・アワー(原題)』でゲイリー・オールドマンが主演男優部門の候補補入りをするのは、ほぼ確実。

『アイ、トーニャ(原題)』
『アイ、トーニャ(原題)』 - Courtesy of TIFF

 トロントの観客賞で次点だった二作『アイ、トーニャ(原題) / I, Tonya』『コール・ミー・バイ・ユア・ネーム(原題) / Call Me by Your Name』も、チャンスは十分。『アイ、トーニャ(原題)』で元女子フィギュアスケーター、トーニャ・ハーディングの口の悪いスパルタ母を演じたアリソン・ジャネイは、助演女優部門でキャリア初のオスカー候補入りを果たしそうだ。

『ゲット・アウト』
『ゲット・アウト』 - (c) 2017 UNIVERSAL STUDIOS All Rights Reserved

 アカデミーの好みからは遠いが、評判の良さから作品部門に候補入りが期待できるのは、『タンジェリン』のショーン・ベイカー監督がやはり社会の底辺にいる人たちをリアルに描く『ザ・フロリダ・プロジェクト(原題) / The Florida Project』と、ジョーダン・ピール監督のホラー映画『ゲット・アウト』。早くもNetflixが熱心なキャンペーンを始めている『オクジャ/okja』ポン・ジュノ監督)は、候補入りはあっても、ストリーム配信という事実が受賞には不利に動くかもしれない。

 とはいえ、まだまだわからない要素はたっぷり。スティーヴン・スピルバーグ監督、トム・ハンクスメリル・ストリープ主演で、政治とジャーナリズムの戦いを描く実話もの『ザ・ポスト(原題) / The Post』、リドリー・スコット監督の実話スリラー『オール・ザ・マニー・イン・ザ・ワールド(原題) / All the Money in the World』など、まだ誰も観ていない作品がこの後にも控えているのだ。今年、『ムーンライト』が『ラ・ラ・ランド』を覆したように、最後まで確証はないのがオスカーの面白さなのである。

 

CMで白衣姿! - 写真は「グレイズ・アナトミー」第10シーズンより。パトリック・デンプシー - Randy Holmes / ABC via Getty Images

 米テレビドラマ「グレイズ・アナトミー」のマクドリーミーことデレク・シェパード医師を演じ、第11シーズンで降板したパトリック・デンプシーの白衣姿が再び見られると E! News などが報じた。「グレイズ・アナトミー」「プライベート・プラクティス」でデレクの元妻アディソン・モンゴメリーを演じたケイト・ウォルシュとも共演。ファンにはたまらない映像を実現させたのは、医療保険会社シグナの新しいCM広告である。

【CM動画】白衣姿、再び!

 パトリックとケイトのほかにも、「天才少年ドギー・ハウザー」の若き天才医師ドギー・ハウザー役で知られるニール・パトリック・ハリスや、「scrubs ~恋のお騒がせ病棟」のドクターだったドナルド・フェイソンも登場。彼らはCMの中で、「僕らはテレビで医者を演じているだけで、医療については詳しくないものの、ドラマ(劇的な出来事)についてはよく知っている」と言い、日常での劇的な出来事を避けるためには定期健診を受けるよう呼びかけている。

 元妻役のケイトとの約5年ぶりの共演について、パトリックは「ケイトはとても面白く、コメディーのタイミングもばっちりなんだ。もともとセットではふざけあっていて、その途中でシリアスなシーンを撮ったりしていた。今回はずっとはしゃいだ感じで、お互いを笑わせていたから楽しかったよ」とPeopleに語っている。