小学6年生の時、友達同士で映画を見に行きました。

それまで僕は親以外と映画を見に行ったことはありませんでした。

仲のいい友達5人が皆親の了解を得て、日曜日に行くことになりました。

なんの映画を見るかを色々相談したのですが、

結局その当時流行していた金田一耕助シリーズの一つ

「金田一耕助の冒険」に決定しました。

 

金田一耕助シリーズはどれも人気がありましたが、

後になって、その作品はシリーズ中最も駄作だったと評されるほどの

酷い作品でした。

確かに見たはずなんだけど、内容は全く記憶していません。

 

記憶にないのには、面白くなかったというのも理由の一つだと思いますが、

もう一つ大きな理由があります。

実はその映画は、二本立てでもう一方の映画が大きな理由です。

 

その映画のタイトルは「蘇る金狼」。

松田優作の代表作になった映画です。

ただ、小学6年生に大藪晴彦のハードボイルドの良さがわかるわけもなく…

ただその映画にたびたび出てくる、松田優作と風吹ジュンの

ラブシーンというか性的描写に、釘付けになってしまいました。

 

今のように、インターネットでなんでも見れる時代ではありません。

女性の裸体を見る機会などまるでなかった我々が、

いきなり映画の大スクリーンで動画でみるなんてその衝撃は計り知れないものです。

ごくまれにエロ本などを入手してみたことはありましたが、

それに載っている写真の女性は、まあなんというか

あまり魅力的じゃない見栄えでしたので、

いきなり風吹ジュンでしたからね…

 

金田一耕助の冒険も蘇る金狼も何の話だったか全く覚えていません。

ただただ、風吹ジュンだけが脳裏に焼き付き、

それからしばらくは風吹ジュンが僕の頭をしばらく占有していました。

 

何年も後になって、もう一度蘇る金狼を見る機会があり、

内容も素晴らしい面白い映画だったんだとようやくわかりました。