日曜の朝、いつも通りに海岸の見える遊歩道をランニングしていました。

風が強く、結構波も高く、

いつもよりランナーも若干少ない感じでした。

遊歩道から遠巻きに裸足で波打ち際で一人で歩いている女性を見ました。

デニムのパンツを膝まで捲り上げて、

細目の白い足が浅瀬に浸かっていました。

 

僕のランニングのコースは、一旦遊歩道を走り切り、

折り返しは海岸沿いをゆっくり歩いて戻ってくるのがいつもです。

いつも通り折り返して海岸沿いを歩いていると、

先ほどの女性がまだそこにいました。

 

普通、女性が海辺で水遊びってときは、

大概は彼氏と一緒か、後は女性の友達通しってかんじなんですが、

その女性は一人でした。

 

だんだん近づいていくと、

遊んでいるのではなさそうです。

波打ち際を歩きながら何かを探しているみたいです。

そこには何やら必死さが伝わってきます。

 

恐らくここで何かをなくしたんだと僕は思いました。

咄嗟に浮かんだのは「指輪」です。

昔ドラマでそんなシーンがあったのを思い出しました。

 

一緒に探してあげようかと、ふと思いましたが、

あまりの波の強さに、そう簡単に見つかるはずはない…

そう思っていると、

その女性は僕の気配に気づき、

僕のほうに振り返りました。

 

想像とは違って、結構年配のご婦人でした。

恐らく日本の方ではない感じです。

「何見てんのよ!」みたいな目つきで僕を睨みました。

その後も必死にまた何かを探し続けています。

 

声をかけないほうがいいんだな、と思いながら、

その女性の右手に何やら白い丸いものが握られていました。

よーく見ると、ホンビノス貝です。

外来種ですが、この海岸でよく採れるそうで、

食感が良く、たまにスーパーでも見かけます。

 

女性が必死に探していたのはホンビノス貝だったんです。

食材探しをしてたんですね…

禁止されているんだけどね。