前の家に住んでいる方はお祓いをしてもらい、それ以後倒れることはなくなったそうだ。

お祓いされた後、そのおじさんの霊は父を見つけて何らかのメッセージを送っているに違いない。

僕はそう確信し、休日父にその話を告げた。

 

父は桐の箪笥から衣類を全部取り出し、家の前の空き地に箪笥を運んだ。

そこで、箪笥を分解して火を点けた。

母が驚いてやってきて、

「何をしてるの?桐の箪笥って高いのよ。気でも狂ったの?」

と叫びましたが、父は黙々と火にくべた。

僕もそれを黙って見ていた。

全部燃やし終わって、箪笥についていた金具だけが焦げて残った。

僕らは灰とその金具を土に埋めて、手を合わせた。

 

それ以後、峠では光が付いてくることはなくなりました。