冬も終わり春がやってきました。
あの日の不思議な体験は、その後誰とも話すことはなかったので、
段々と思い出すことも無くなってきました。
ある日学校から帰ると、隣の家のおばさんが母と玄関で話をしていました。
僕は何気なくその話を立ち聞きしていました。
隣のおばさん
「お宅昔田端町に住んでいたことある?」
母
「5年位前に田端町に住んでましたよ。古い長屋の家でね。」
隣のおばさん
「親戚でバイクの事故で亡くなった方っていますか?」
母
「ええ、随分昔に、私の叔父にあたる人がバイクの事故で亡くなっています。」
隣のおばさん
「やっぱりそうなんだ。」
母
「え?どういうことですか?」
隣のおばさん
「実はその田端町の長屋のお宅の後に住んだ家の旦那さんが、原因不明で倒れてしまうらしいの。
色々なお医者さんに診てもらったんだけど、どうしても原因がわからなくて。
それで、藁にもすがる思いで、お祓いで有名な霊媒師に見てもらったんだよね。
そうしたら、前に住んでいた方のバイクで亡くなった方の霊が憑いてるっていうよね。」
母
「まさか、そんなの信じられないわ。」
その後隣のおばさんが帰った後、母は少し機嫌が悪くなっていました。
「全く、何の言いがかりだか。」
「お母さん、バイクで亡くなった人ってどんな人なの?」
「お母さんにとてもよくしてくれてね、結婚した時は桐の箪笥を譲ってくれたんだよ。和室にあるでしょ?」
「ああ、あれね。ところでその人はどこで事故にあったの?」
「事故っていっても、単独事故よ。〇〇峠。わかるでしょ?この前車で通ったところ。」
話が繋がった…
僕はその瞬間、二つの話が繋がったことを確信した。
続く