それから1ヶ月くらいしてから、父が出張に行った同じ場所へ家族で行くことになりました。

身内に不幸があり、その場所が同じだったからです。

今回も同じく夜の移動となりました。

そして峠に差し掛かったころ、父が言いました。

「後ろ見てみろ」と

すると、後ろから一つの灯りが我々の車についてくるのが見えました。

「お父さん、これなの?あの時言ってたやつ」

「うん、同じだ」

「お母さんと、お兄ちゃん起こしてみるね」

話を信じてなかった、母と兄は既に寝ていたので起こそうと思い、

身体をゆすったり、声をかけてみましたが、全く起きなかったのです。

父は

「多分、起きないと思う。前の時も一緒に乗っていた同僚を何度も起こそうとしたが、起きなかった。」

途中何度も起こそうとしましたが、結局どうしても起きませんでした。

 

それからはずっと後ろの灯りを見続けました。

ずっとついてきます。

父が途中車を止めると、やはりその明かりも止まっています。

そして、峠も終わり街並みに車が入る少し前に、その灯りはふと消えました。

 

その後ようやく起きた母と兄にそのことを伝えても、

全く信じてくれませんでした。

 

僕も父も、もうそのことを話すのはやめました。

 

続く