しんがそーん
前回ダンスについて語ったけど、私にとってもう一つ大きなものは
歌。
こちらも生まれてすぐにふんふん~♪って歌い始めて
とにかく覚えたCMの歌は周りの人が嫌になるくらい歌っていた。
小さい頃は母親と駅まで仕事から帰ってくる父親を車で迎えに行くと
サンルーフ?(車の上が一部だけ開く)から顔を出して
水戸黄門の「じーんせーいーらーくーあーりゃー・・・(略)・・・さー!!!!」
を絶叫しながら歌っていた。らしい。
徳島(父の実家)の阿波踊りに行ったときには
どっかの組の一番前にすたたたっと勝手に侵入して
ど真ん中で勝手に踊りだした。らしい。笑
とりあえず我ながら恥ずかしくなるくらいの目立ちたがり屋だった模様。
その後も学校の音楽の時間は私の大好きな時間。
合唱はハモるのが好きだった。
いつも合唱曲は全パート(自分は大体いつもソプラノ)をマスターして、
家に帰って母親にも全部マスターさせて
二人でハモりながら歌って楽しんだ。
綺麗に調和して聴こえるハーモニーは最高に気持ちよかった。
私は当時から歌は上手いほうだったと思っている(勝手に)。
でももしも自分が勝手にそう思っているだけで
実は全然へたくそだったらかっこ悪いから
あんまり目立つ真似はしないようにしていた。
合唱でもあんまり声を張らないようにしたり
周りの人が音を外していて
それがたとえ自分にとって簡単なことだとしても
一緒になって苦戦している振りをしたり。
それは音楽だけじゃなかったかもしれない。
イタリアに引っ越して
まだ友達もいなくて、イタリア人には馬鹿にされていた頃。
私が得意だったバスケの授業で本気で戦ったら
案の定、僻みと苛立ちをぶつけられた。
そこで自分の才能を本気で人に見せ付けるのはいけないことなんだと悟った。
自慢まがいのものは嫌われる基だと知った。
それは日本でも知らないうちに刷り込まれていた思想だったけれど
私はただ大人しくしていればいいんだ、とその時確信した。
自分は無能な人間。
なんのとりえもなくて、言葉も、勉強も、運動も出来ない。
あまり価値のない人間。
そうやって諦めてしまったほうが楽だった。
でも時折認められることもあった。
クワイヤーで褒められたり、
アートの授業で賞をもらったり、展示品に選ばれたりした。
しかし私はいつも悟ってしまう。
私はいつまでたっても井の中の蛙であって
本当は才能なんて全然ないということを。
たまたま褒めてもらえたり、選ばれたりしただけで、所詮は学校のこと。
教育上やはり皆に得意分野を与えたり、褒めることは重要だから
そうされているだけに違いない。
だって世の中をみてごらんよ。
私なんかより優れた才能を持った人で溢れている。
West Endにミュージカルを幾度となく見に行ったけれど
皆私よりもダンスも歌も上手いんだ。
よくアーティストの個展を見に行ったけれど
皆私よりもセンスが良くて面白い作品を作っているんだ。
もちろんこういう人達はプロとして多くの経験を積んでいるし
私よりもレベルが高くて当たり前だったけれど、
学校内であっても私より才能のある人なんている。
そもそも自分が将来的にそのレベルに達することが出来るとも信じがたかった。
きっと広い世の中に出て行ったら
私の「才能」なんて「才能」としてカウントされるとは到底思えなかった。
だから私は無能な人間でいればよかった。
歌?うん、少しは歌えるのよ。
ダンス?うん、小さい頃から習っているのよ。
絵?うん、ちょっとだけ得意なの。
だから私は褒められても図に乗ってはいけない。
それは全て罠だから。
私をその気にさせる罠。
いい気になっている私を、次の瞬間にどん底に突き落とす怖い罠。
「所詮、お世辞だけどね!まぁ、趣味レベルならいいんじゃない??笑」
そういう声が聞こえる。
私は私を認めない。
こんなレベル、本気でその世界に入ったら、お話にならないよ。
でもどこかで願っている。
本当は私にも才能と呼べるものがあるんじゃないかって。
皆が認めてくれるものがあるんじゃないかって。
お世辞じゃなくて、本当に見込んでもらえるんじゃないかって。
つい先日、バイト先の店長の送別会があった。
カラオケで0時から7時まで飲み放題で、歌いたい放題。
私は初めて一緒にカラオケに行く人がいると、
いつもとても緊張してしまう。
私はどう評価されるんだろう。
歌の上手い人だと思われるのだろうか。
それともそれは私の勝手な思い込みなのだろうか。
でもその心配とは裏腹に、
驚くほどに高く評価されて
その後ひたすら知らない曲まで勝手に入れられて
突然、歌え!!!と言われる有様になった。
さすがに無茶振りには困惑したけれど
内心どこかでとても喜んでいる私がいた。
それはもちろん私の歌を皆が高く評価してくれたからだろう。
でも同時に、皆が私の歌でとても楽しんでくれた事、
一曲歌い終わるごとに
「最高だ・・・!」、「文句無い・・・!」、「あれも歌って!!」
と嫌味も、妬みもなく素直に言ってくれた事かもしれない。
それらの言葉が嘘だとはなぜか思えなかった。
確かに歌のレベルがどうとか、どれほど上手いかは私にとって重要だけれど
とにかく「私がすること」で「喜んでくれる」人がいること。
その事実がとてもとても幸せなことに思えた。
それだけで私は、きっとずっとずーーーーっと
歌い続けることが出来るんだろう。