ついにゴルフもできな程の痛みが...

 

痛みに耐えながら続けたゴルフだったが、

ついにとてもスイングできないほどに進んでしまった。

それでもゴルフ仲間のクラブフィッティングだけは続けていた。

ゴルフができなくなるほんの数か月前に新たにゴルフ倶楽部のメンバーになったところを見ると、

彼は本気でこの癌を克服するつもりでいたのがわかる。

 

そして亡くなる1か月ほど前、

「今、入院してるんだけど…」と電話がかかってきた。

少し様子がおかしかったので、直ぐに見舞いに行くと伝える。

コロナ禍であったにも関わらず

見舞いの許可はおりたので会いに行くと、

点滴を下げながらであったが想像していたより元気に見えた。

ただし、その病院の雰囲気はちょっと普通とではなかった。

いわゆる終末期医療の雰囲気が漂っていた。

LINEの既読が遅かったのは、

ちょっと前まで激しい頭痛で何もできなかったからのよう。

脳に転移していたからだ。

その後もLINEのやり取りはしていたが、

再び電話があり、

辛かったのだろう、電話越しに泣いているのがわかった。

それでも新しいキャディバッグを使うから、

絶対治してゴルフ復活するから、と

気丈に前向きな言葉を口にするのだ。

聞いているこちらが泣けてくる。

 

日に日に弱っていく身体、そして痛みの辛さで

もうダメかもしれない、という弱気と

何とか奮い立たせて闘う気持ちが交錯、葛藤していたのだろう。

来週また行くからと電話を切り、

彼の娘と同い年のうちの娘のおどけた踊りと歌の動画を送る。

返信は(笑笑)

結局これが彼からの最後のLINEとなった。

 

翌週、彼の奥さんから亡くなったという訃報が届いた。

前立腺からリンパ、骨、脳、肺に癌が広がっていたため、

緩和ケアの治療しか行っていなかったにもかかわらず、

最後の最後まで癌と闘う気持ちが強かったようだ。

逝く直前まで喀血をしまくり、

かなり苦しんだという。

残した娘のことを思うと死ぬに死ねなかったのだろう。

もう涙が止まらない。

合唱