こんにちは!カンテウムの矢舗です。
今日は、名詩「ふるさとの」に作曲された曲を紹介したいと思います。
ふるさとの
小野の木立に
笛の音(ね)の
うるむ月夜や
少女子(をとめご)は
熱きこゝろに
そをば聞き
涙ながしき
十年(ととせ)経ぬ
同じ心に
君泣くや
母となりても
・・・10年前、かつて恋仲だった女性が今もなお、私のことを思ってくれるだろうか・・
この悲痛なる願いの裏には、三木露風自身の実体験が背景としてあるようです。
若き露風には余程こたえた失恋だったのでしょう。この主題は彼の私の中に本当にたくさん現れます。そのうちの最も純粋に昇華されたものの一つがこの「ふるさとの」の詩であると言えるでしょう。
その魅力は抗しがたく、数多の作曲家がこぞってこの詩に付曲しています。
今回歌った斎藤佳三のものはそのうち最も古いものに属します。日本の伝統的な音律・音調が前面に出ており、そのことが過去に思いを馳せる詩情とよく一致しているように思えます。