先日、令和3年4月21日,「民法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第24号)のうち相続登記の義務化についてピッアップしてお知らせいたしました。
同改正中、相続登記の義務化と同じくらい気になるのが住所・氏名・名称等の変更登記の義務化です。
法務局は住所と氏名(法人の場合は本店・商号)で登記申請人の同一性を判断します。
例えば所有する土地を売却する場合、引越をしていて登記簿上の住所(A市)と現住所(B市)が違っていたら、法務局は土地所有者と申請人を同一人と認めず、所有権移転登記は却下されてしまいます。この場合、売買を原因とした土地の所有権の移転登記の前に、住所をA市からB市へ変更する住所変更登記を行う必要があります。
現在は住所等の変更登記は任意ですので、住所変更が事前になされているのは稀で、実際に不動産を売買する時点で登記簿上の住所が変更されていないことを発見し、所有権移転登記の前提として住所の変更登記を申請する。というのが通常の登記実務です
しかし本改正で「氏名若しくは名称または住所について変更があった日から2年以内」に変更の登記が義務付けられましたので、本改正の施行後(公布後5年以内)はお引越しでの住所変更、ご結婚での氏の変更などがあった場合変更登記の申請義務が発生します。
通常、引越しの手続きで保険や銀行、免許証の書き換えなどの必要性は認識していても、登記簿上の住所の書き換えまで気がまわる方はごく少数かと思います。また不動産をたくさん持っている方などは手続き費用もかかってまいります。相続登記の義務化より住所・氏名・名称変更登記の義務化のほうが影響が大きいかもしれません。
まだ実際の運用がどうなるのか詳しい情報がわかりませんが、わかり次第発信できればと考えております。
不動産登記法 第七十六条の五 (新条文)
所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったときは、当該所 有権の登記名義人は、その変更があった日から二年以内に、氏名若しくは名称又は住所についての変更 の登記を申請しなければならない。