キヤノン非正規労働者組合も参加する、偽装請負を内部告発する非正規ネットのメンバー、松下プラズマディスプレイ(現パナソニックプラズマ)の原告吉岡力さんが、イラクで開催される『国際労働者大会』に参加するため、3月9日関西空港を出発しました。


 松下プラズマディスプレイ事件の判決が最高裁で確定されるよう、世界の労働者に支援・共闘を求めることが今回の目的です。

 出発を前に、当事者の吉岡さんからキヤノン非正規労働者にメッセージをいただきましたので、ご紹介します。

                                              以 上



キヤノン非正規労働者組合


(写真左、吉岡氏他、偽装請負を内部告発する非正規ネットメンバー)



キヤノン非正規労働組合の皆様へ



 私は日本で起こっている雇用問題を広く国際社会に訴えるためにイラクのアルビルで行われる『国際労働者大会』に参加しています。

以下は、国際労働者大会で訴える私の発言原稿となります。偽装請負・違法派遣の争議で闘われているキヤノン非正規労働組合の皆様に敬意を表します。共に頑張りましょう!


遠い異国の地より
パナソニックプラズマ偽装雇用争議
原告 吉岡 力

昨年425日、日本を代表するグローバル企業の一つであるパナソニックと私との偽装雇用(「偽装雇用」の問題はILOの「雇用関係に関する勧告」にも取り上げられている国際問題でもある)を巡る裁判において、労働者の権利を守る大変の意義のある判決が下されました。この判決は何もパナソニック1社だけを裁いたものではなく、今の世界のグローバル企業と言われる経営者たちが行っている働かせ方、いわゆる人間を人間として扱わず、モノのように扱い、いらなくなったら使い捨てる働かせ方に対して、このような非人間的な働かせ方は「人身売買」(奴隷労働)と同等の行為であると厳しく断罪しました。

この判決は日本国内で「偽装雇用」という無権利な形で働かされ続けてきた労働者たちに希望を与えています。

しかし、「偽装雇用」を厳しく断罪した大阪高等裁判所の判決に対し、パナソニックは以下のような理由で最高裁判所に上告しています。

「我々は労働者をモノのように扱うこのシステムを使うことによって、産業の空洞化を防いでいる。我々のこの手法を容認しないのならば、海外へ工場を移転するしかない」

 つい最近、北京のパナソニックの工場労働者600名が解雇通告を受けるという攻撃を受けましたが、現地の労働者らがこの横暴に対し、現地のパナソニックの邦人社長を取り囲み、社長が裏口から逃げだすという騒動が起こりました。パナソニックは、私との裁判において自らの行ってきた違法行為を反省することもなく、日本で違法行為を容認しないのならば、海外で違法行為をさせていただくと開き直り、いまだに日本国内においても「偽装雇用」の違法行為を止めようともしていませんが、そのパナソニックが海外で違法行為を行い、世界中の労働者に攻撃を仕掛けているという事実をこの大会に参加されている皆様に知っていただきたいと思います。また、日本を代表するグローバル企業の経営者のほとんどがパナソニックと同様の主張を行い、パナソニックと同様に「偽装雇用」の違法行為を改めようともしていません。その結果、日本国内では多くの労働者が「HAKEN」という雇用形態で、奴隷のように無権利状態で働かされ続け、苦しんでいます。

 今、日本国内ではパナソニックを代表とする日本のグローバル企業の経営者たちが「HAKEN」という奴隷労働の撲滅のために闘いに立ち上がった労働者らに人権侵害行為や解雇などのあらゆる攻撃を仕掛けていますが、私の闘いの後に続いた数多くの仲間が、このような人間の生活や生命を脅かす自分勝手は許すことができないと、「人間の尊厳」をかけて、そして己の人生をかけて闘っています。

私は私の後に続いた仲間たちのためにも、またこれから社会に出て働き始める青年達が「立派な一人前の人間」として働ける世の中にするためにも、絶対にパナソニックとの闘いに負けることはできません。そのためには一日も早く労働者の権利を守る判断を下した高等裁判所の判決を最高裁で確定させなければいけません。

本日は昨年の4月25日に大阪高等裁判所が下した労働者の希望となる判決を最高裁判所で確定させるための署名のご協力のお願いに来ました。

皆様のご協力よろしくお願いします。


パナソニックプラズマ偽装雇用争議

原告 吉岡 力