和合が叫ぶ
福島から福島を
福島を福島から
和合が叫ぶ
夜な夜な 言葉を引きちぎり
天の子午線を見据え
詩人を詩人のままにおかぬ
今に抗い
我が身の肉塊を礫にし
血みどろに 喘ぎ
のたうち
私の五臓を射抜く
あの厄災から
乾かぬ涙を射抜く
礫のあとに
和合はそっと置く
願いでも 諦めでもない
生臭い今夜の数
いちに僅かにとどかぬ
数を
あの大揺れと絶望の大波が人々の営みを襲い、厄災の鬼火が「神話」の虚実を剥ぎとった瞬間から、この国の「すべて」が顕わになった。
死者、行方不明者の数。町の片隅に積み上げられた被災家屋や家財の総量。日々の空間放射線の量。避難すべき目安の距離。償いの額。自ら断ちきった命が眠る墓石の柱。忘れ去られた被災集落の軒。「3.11」という虚無な記号。顕わになったのはこうした「値」ではなく、この国の人々の心の様と社会の実相だ。
「(放射能)汚染まみれの女川で蒲鉾をつくっているお前は人殺し」と即売会で見知らぬ客から罵られた青年の怒りと無念。
膨大な量の被災家屋や家財の広域処理をめぐり、受入れ反対のヒステリックな行動を繰り返し見続けなければならない被災地の子供たちの心が傷つかないとでもいうのか。すでにもう誰よりも深い傷を負い、例えようのない大きな喪失感の中にいて、必死で「生」を紡いでいるというのに・・・。
脅えながら逃れ着いた町は、暖かで穏やかな棲家の提供を拒み、偏見や差別の眼差しと言葉の礫(つぶて)で何度も何度も射抜き、人間の尊厳を打ち壊し、この社会のささやかな誇り「結の心」を喪失させた。
自らに抗いながら、選びとった「死」の重さを、もがきながら積みかさねている「非日常の日常」の辛酸を、「値」では表現しきれない実感を、この社会は黙殺している。
鎮魂の夏空に 殺人機が舞うという
彼らは シルクドソレイユではない
殺される前に 殺すことを用意しているだけだ
「蒼い衝撃」が 鎮魂の静けさを打ち砕く…