私の住む土地は、密かに柿の産地です。
美味しい柿をお手頃価格で買うこともできますし
知人からいただくこともあります。
ところが、夫はそれをほとんど口にしません。
好みの味ではないそうです。
そんな夫のお好みは、実家から送られてくる柿です。
この時期は、庭先で実った柿が、季節の野菜と一緒にダンボールで送られてきます。
特別な手入れはしていないのに、大きく美味しく実っています。
しかし、なにぶん勝手に庭先に実ったものゆえ
年によって当たり外れもありますし、中には渋いものもあります。
買ったり頂いたりする柿のほうが当たり外れがなく
コンスタントに美味しいと、客観的にはそう思います。
それでも、夫は、ダンボールで送られてきた柿を喜んで食べます。
幼い頃から慣れ親しんだ、ふるさとの味だからなのでしょう。
柿をもいでくれた母や兄
少年時代に柿をもいだ思い出
自分が育った家の庭先の風景
庭で遊んだ兄弟、従兄弟、友達など
夫にとっては、ふるさとがぎっしり詰まった味なのだろうと思います。
別に。単なる好みの問題だから。
夫はたぶんそう言うでしょうから、ウラは取っていませんけど。
おもえば恋しや♪忘れがたきふるさと♪
もしも、ふるさとが崩壊したら…
思い出の風景が失われたり、立ち入ることもできなくなったりしたら…
想像するだけでも寒々とした気持ちになります。
実際にそういう方々がたくさんいる現実を、忘れないようにしたいと思います。
折々に、季節の野菜やお赤飯や柿などを送ってくれる実家がある幸せと
帰るふるさとがある幸せをかみしめつつ。
