数年前、酔いつぶれた学生さんをアパートまでまで送り届けたことがあります。

(念のためおことわりしておきますが、私がつぶしたわけではありません。)

タクシーに乗車拒否されたと、夫からSOSの要請を受けて出動したときのことです。

詳しい事情は聞かなかったので、よくわかりませんが

たしか…何かの打ち上げの宴会だったと思います。

ひとくぎりついてホッとして、楽しく飲めるはずの席で

周囲の心配をよそに荒れた飲み方をし

心配した通り、悪酔い。

まだ若いのに、一体何があったのでしょう。

あなたもいろいろ大変ね。

ハンドルを握りながら私は心の中でそうつぶやいていました。



介抱のために同乗した学生さんに案内され、アパートに着いてみてびっくり。

ふだん私がよく通る道沿いにあり

もしかして高級マンションかな?と思っていた立派な建物でした。

こりゃ、通るたびに思い出しちゃうな、と思いながら

着きましたよと声をかけると

その酔っ払い君はお財布を引っ張り出し

「いくらですか?」 ← タクシーに乗車拒否されたのを覚えていない

いいです

「え?」

タクシーじゃないから

「え???」

しばらくそんな問答をしても、やはり状況が飲み込めないようでしたが

あとはもうひとりの人に任せて

はてなマークいっぱいのままお財布を抱えている彼を降ろして

私は失礼させてもらいました。



夫の蔵書の中には、専門書に混じって

心理学やカウンセリングなどに関する本もあります。

夫なりに理解しようと努めているようです。

最近、そのたぐいの本が増えてきているのを見ると

あなたもいろいろ大変ね、と夫に対しても思います(言わないけど)。


若いときは若いなりに

年齢を重ねれば重ねたなりに

皆さん何かしら試練を抱え、耐えながら生きている。

くだんの現場の近く通るたびにそんなことを思い出します。



昨日も何度か近くを通って、思い出して

そして、後悔しました。

ガッツリふんだくっておけばよかったと。

ちがうか。

チャンスだったのに。

だから、ちがいます。


真面目そうで少し線の細い印象だった学生さん

今は、たくましくなっているでしょうか。


酔っ払いの扱いには、わりと慣れているほうです(^-^)v