ゴールドマンサックス証券は14日に5000億円の増資を完了しました。
その増資の成功は、充分に戦略が練られたものでした。

この増資の狙いは米国政府から投入された1兆円の公的資金返済です。
AIGやメリルの幹部へのボーナス支給を批判され、GMはCEOがクビになりました。
返済は先鋭化する公的資金投入企業への経営批判をかわすためです。

昨年度、ゴールドマンサックスは銀行持株会社に変更になりました。
これに伴い、従来の決算期11月が12月に変更になります。

ゴールドマンサックスはこの決算期変更を活用しました。
好決算を演出して、増資を円滑に完了させようとしたのです。

米国政府は、銀行には公的資金を行なうが証券会社には行なわないとのスタンスでした。
ゴールドマンサックスは、公的資金を得るために銀行持株会社になったのです。
これに伴い、決算期も変更となりました。
これを利用して、逆に公的資金返済の条件整備をするというのが皮肉です。

今回のゴールドマンサックスの決算発表は、二つの決算期を同時に発表しました。
一つは11月決算から12月決算に変更されたことに伴う12月単月の決算。
もう一つは1-3月の決算です。

一般的に報道されるのは、1-3月決算のみで、12月単月決算は無視されます。
これをゴールドマンサックスは活用しました。
すなわち、損失をなるべく12月単月に寄せ、1-3月のロスを減らしたのです。

具体的には、12月単月のわずか1ヶ月で1600億円の貸倒コストを計上しました。
1―3月にも800億円の貸倒コストは計上しましたが、月当たり85%の急減です。
当然、1-3月の決算は「好決算」となります。

ゴールドマンサックスは決算発表と同時に増資を発表しました。
そして1日でこれを完了させたのです。
決算内容の吟味を充分に行う時間を投資家に与えませんでした。

さらにゴールドマンサックスの演出は念入りです。
本来14日に発表予定としていた決算発表を、突然1日前倒ししたのです。
前倒しで好決算を発表し、サプライズを演出、同時に増資を発表して1日で募集完了しました。

さらに、この決算期変更の活用はこれだけではありません。

ゴールドマンサックスはAIGへの債権を最も多く保有すると言われてきました。
当時の財務長官ポールソンは、ゴールドマンサックスの元CEOです。
ポールソンがリーマンを潰したのにAIGを温存した理由がここにあるとも噂されています。
リーマンはゴールドマンサックスにとってのライバルで、AIGは債務者だったのです。

その後AIGは国有化され、その最大受益者のゴールドマンサックスの資金回収が注目されていました。
それがこの12月単月決算の中で行なわれているのではないか、とささやかれています。
通常の四半期決算についての詳細な公表と分析がされない特殊決算期に混ぜたのではないかと。
実態は公表されていないので当事者にしか分かりません。

さすがゴールドマンサックス。
公的資金投入を受けた結果の決算期変更をここまで活用するとは。
我々も大いに見習わないといけません。