「確かに・・・」


そう言った先生。

私の病気が神経の病気で、運動ニューロンの病気であると言った先生。

それが

運動ニューロン病の中のALS(筋萎縮性側策硬化症)であることは、もうわかってる。

なのになぜ?


そこで沈黙になるの?


先生自身、退院証明書にはそう・・・明記してるのに。


私がここで、自ら助け舟を出すようなことをしちゃいけない。

先生の言葉を待ちましょ。


そうしてようやく先生から出た言葉。

言葉を、ひとつ、ひとつ選ぶように慎重な感じで。


「この病気はそれだけ難しい病気ということです。このまま症状がとまってくれればとか、善くなればと思う気持ちはわかりますが・・・善くなったり、治ったりするものじゃない、進行性の病気だということを認めて・・・ALSを考えてその準備をしておくということでどうでしょうか」


(えっと・・・私は認めてるよ。認めなきゃいけないのは先生自身だよ。言葉じゃなくって、私がちゃんと闘えるようにさ)

「リルテックも、国が唯一認めた薬ではありますが、せいぜい・・・効いたとしても、数ヶ月症状を遅らせることが出来ればいいくらいで、進行をとめるものではありません。それでも、確定できない状態の患者さんに使ってもいいのかはやはり疑問を感じるところで、これも、自費で飲んだとしても税金を使うことにはなるわけです。ですから、症状が進んで不安なこともあるかとは思いますが・・・その、進行性であるというところを認めて・・・考えなくてはいけないのは、生きることを選ぶかということです」

(またそこか・・・)

「結局、確定できないと、このままずっと待ってるしかないんですね。いろんなことが大変でも、何にも出来なくて。生きることを選ぶかといわれても、今だって・・・昼間は私一人ですから、出来なくて困ることもたくさんあります。それでも・・・例えばずっと筋電図に捉えられなければ、もっともっとしんどくなっても、ただ待ってるだけしかないんですか?」



「寝たきりになったりする状態になるまでには・・・出ると思いますよ、心配しなくても」



(・・・ナニイッテルンダロウ・・・ワタシ、ニホンゴ、キイテル?コトバ、ツウジテル?)


「でも、何年も出ない人もいらっしゃるんですよね?」

「そうですね・・・私の患者さんで、10年出ない方がいらっしゃいました」


(・・・はあ!?、今、何と!?)


ますます、私はきちんと日本語がしゃべれてるのか・・・不安になる。

確かに、ロレツが回んなくって、ものすごくもどかしい。いつもの私なら、関西人の私なら

もっともっと

言葉は出てくるのに。


あ・・・でも、逆に慎重にしゃべれてよかったの?


私はこういうとき、ものすごく自分が醒めてしまう。

もうひとりの自分が聞いてるみたいになって、恐ろしく冷静になってしまう。


この・・・これまでに書いた内容は、かなり削って書いてるけど、


「生きるのを選びますか」


この問いかけは、ここに出てくるだけじゃなくて、ことあるごとにそこに揺り戻されて

何度も聞かれた。


あなたが生きて、成し遂げたいことがあるなら、必ずその助けをしてくれる人たちはいます

って。

究極、そこに行き着くんだね。


・・・私は、先生の言わんとしてることは分かってる。


だから、今の先生の対応はものすごく理不尽だけど、分かる。


・・・変な話だけど、ものすごく

分かるんだ。


このバトルで得た、私なりの解釈を書こうと思ったけど、今日はもう・・・

ダンナさんのご飯、作らなきゃいけない時間になっちゃったしね。


また続くということで、ごめんなさい。