14年ぶりか。
前回鬼束ちひろに「会った」のは2003年8月。富士急ハイランドでのフェスだった。
その前年、11月に彼女の単独ライブ『ULTIMATE CRASH '02』で完全に魂を抜かれてしまった僕だったが、その後なかなか都合が合わず。
"チケットぴあ"の抽選で思いがけず良席(最前列ではないが)に当選し、その地へと赴いた。
こちらのコンディションはなかなかの不調だった。熱を出した病身を引きずり。よく会場へ辿り着いたものだ。
当時は、鬼束ちひろも僕も20代だった…
僕は熱でボーッとしていたこともあり、曲目は、「嵐ヶ丘」「Beautiful Fighter」「月光」の3曲しか記憶にない。
そのうえ土地柄もあってか肌寒さを感じ、ちいちゃん登場前に、日没とともに長袖シャツに袖を通した。僕の内地暮らしの中で最も涼しい8月の日であった。
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7月7日の札幌。当然ながらZepp入口前に、本日 鬼束ちひろ『シンドローム』ツアー との掲示が。
「あぁ、遂に、本当に来てしまった。」実感する。
物販での標的は前もって絞り込んでいたので、着実かつあっさりと購入。
暫し開場待ちの行列に並んだ後、ロビー入るとともにドリンクコーナーへ直行。バーボンのロックを注文し速やかに飲み干す。もう頻尿も心配になる年齢なので(笑)。
そして、ホール内に入る。既に演出のスモークが漂う中、席番を確認。人生初の最前列。夢ではない、現実だと思い知る。
開演後、鬼束ちひろは観衆が拍手のタイミングを逃す程あっさりと登場。齢40を過ぎた僕の前に36歳の鬼束ちひろが、現れた。
1曲目の入りは抑え気味の声量なのは相変わらずだが、その声・音程、照明が当たった彼女の表情・指先に至るまでの仕草、まずは好調だ。僕は心の中でガッツポーズした。
痩せ過ぎを心配する声もあったが、光の中うたう彼女の腕の肌艶の良さが目に付き、僕は安心。
僕はセトリの確認という、自分らしくない行動のために曲が変わるとともに、黙ったまま「1曲目、2曲目…」と、最近ほぼ毎日聴いた『シンドローム』収録曲が冒頭から続くうちはカウントしていたのだが。4曲目の「BORDERLINE」で、そんなのはもう吹っ飛んでしまった。
4月にチェロの結城氏がTwitterで、「全盛期の歌声を超えてると想う」と発言していたが。まさしくこれだ!!
あとはもう、鬼束ちひろの為すがまま。そして、あの「帰り路をなくして」からのノンストップ3連奏に会場全てが飲み込まれた(はず)。
(遡り、「流星群」も美しく素晴らしかったけど、もう少しバンドっぽく演って欲し…)と思っていたが、3連奏を締めくくる「X」の迫力がその思いも吹き飛ばした。「X」はこんな最高なロックだったのかよ!!!(CD音源は散々聴いてたのに)理性すら飛びかねないレベルへ逝かされる。
その後、後半曲「悲しみの気球」~「シャンデリア」と続く。一瞬だけ歌詞につまる場面が少々あった。しかし、もしこれがフィギュアスケート競技で僕が審判だったら0.1点すら減点しない・全然ミスではない。それだけ彼女の歌唱とライブパフォーマンスはエクセレントだった。
「月光」。鬼束ちひろがこの歌を、まともにうたうことができなかった時期があったなんてウソだろ!?。そしてクライマックスの「火の鳥」で、僕自身はこの日のライブで唯一,鬼束ちひろの指先が細かく震えたシーンを目にする。もう緊張というより、全力で歌に感情を込めていることの現れとしか思えない。そして、確かに聖母の如き表情で我々を見渡しながらうたって、終演を迎えた。その直後も鬼束ちひろは御機嫌麗しい様子で舞台袖に退いた。
観客のどの程度の割合でアンコールなしと知れ渡っているか不明だが、自然にアンコールの手拍子が場内で湧き上がる。もちろんアンコールに誰も登場しなかったが、僕は手拍子が止んだ後改めて2秒程拍手をして(ちょっと半端)会場を後にした。
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鬼束ちひろ『シンドローム』ツアー
@ZeppSapporo
2017.7.7 19:00開演
1.good bye my love
2.碧の方舟
3.sweet hi‐five
4.BORDERLINE
5.蛍
6.陽炎
7.流星群
8.眩暈
9.夏の罪
10.帰り路をなくして
11.ラストメロディー
12.X
13.悲しみの気球
14.シャンデリア
15.ultimate fiction
16.弦葬曲
17.月光
18.火の鳥
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鬼束ちひろがZeppSapporoで単独ライブを行ったのは、2001年4月の彼女初の全国ツアー以来のはずだ。
もし、ライブハウスの神様というか、「ZeppSapporoの精霊」が居るならば。16年ぶりの、成熟した彼女の歌唱・パフォーマンスにとても驚いたことだろう。
翌々日の9日(日曜)、地元メディアは「7月上旬の札幌で125年ぶりに真夏日が3日連続した」と報じ、さらに10日(月曜)も最高気温が30度越えとなった。
1892年7月6日~10日の5日連続に次いで、2017年7月7日~10日の4日連続真夏日という観測記録が刻まれた札幌であった。
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