当初は鬼束ちひろ『シンドローム』ツアーへは7月7日しか参戦できない見込みだった僕。諸々あって思いがけず12日の中野公演へも行けることとなり、一般枠で後方列のチケットを買い、東京へお上りした。
7日が良過ぎたこともあり後列だったこともあり、ライブについてはざっくりした感想になってしまうが。
ハコの規模は違えど、改めて現場で「BORDERLINE」、「帰り路をなくして」から「X」のノンストップ3連奏、「月光」を聴くことができただけでも価値があった と思った。
さらに言うなら、鬼束ちひろの「全力さ」は、やはり後列まで伝わってきたこと。
この日の模様が後日WOWOWで中継される関係で、ライブの趣旨を侵犯されたと思料される件への僕の抗議はTwitterアカウント(@CANDYSTORE97)で7月13日朝に申し上げているので、繰り返しはしない。
ただ一つ、後列からは、鬼束ちひろが、日焼けを気にする人が自転車等に乗る際の日焼け止めアームカバーを着けさせられているようにしか見えなかったことは残念だ。
*********************
追加公演は、14日も、最終・18日も現場で観ることはできなかった。
しかし、SNSで詳しくレポしてくださった方々のおかげで、印象的な場面を大まかに捉えることができた。ひたすら感謝しかない。
まず、開演前、WOWOWからの豪華な祝い花の画像を見た際は「こいつめ!」と「ムカついた」。
しかし、終演後。偶然にも、僕には思い入れのある7日の公演と同じ衣装、「アームカバー」改め「ロンググローブ」をコーディネートしている画像を見ると…なんか似合っている…。
「WOWOW収録をアナウンスした公演でなくても祝い花は出しますよ」「同様、ロンググローブも活用しますよ」という関係各位の姿勢の老獪さ、まぁ嫌いじゃない(笑)。
終盤のMC。長年付き添ってくれたスタッフの紹介や、概要は「デビューして17年になるが苦しい時も皆さんは支えてくださった」「怖くて、この10年ツアーから逃げてきた」「皆さんのおかげでここまで来られた」との旨。
MC自体ほぼ無かったことなので、<慣れた口調で饒舌に>ではなかっただろう。
それを、鬼束ちひろは「今日会場に居なかったファンの方にも、絶対感謝してるはず」との言葉も添える心遣いでSNSでのレポをしてくださる方。誠に頭が下がる思いだ。
深くお礼申し上げたい。
*********************
2001年、鬼束ちひろ最初の全国ツアーを収録したDVDに差し込まれたインタビューで、ファンとの関係について「あたしが歌って、ファンが拍手(それ以上に何か必要?)」というように答えた若き日の彼女。
ところが今や、ライブで、母性すら感じさせる表現力を発揮するのみならず、時には物販コーナーに顔を出したり・ファンとハグしたり。自身が飼っている猫だけでなく、行き着けのショップ店員の飼う猫が病を罹っても飼い主と共に泣く程、他者の辛さや悲しみに寄り添う姿を見せる。
ただただメンタルが強靭で母性や豊かな愛情を持つ、ある意味モンスターな人なら、僕はその人が却って怖くて、その人の言葉を信じていいのかわからなくなるかもしれない。
でも鬼束ちひろは、雑誌記者から「もう36歳になったの!?」と言われ、「でも幼児化してますね」と答えて、それが完全な謙遜や冗談ではない。
ライブ全日程終了して直後、会場近接のラウンドワンで人に囲まれながらクレーンゲームに興じる。確かにとても子供っぽい(笑)。
そういう、繊細さ・子供っぽさのある人が、母性や他者の辛さに寄り添える心を兼ね備えているので、信用できる。
確かに長年「芸能人」な人なので、台本通りに喋らなきゃならない時もある。何年か経って「あの頃こう言ってたのに覆したな」ってコトもあるかもしれない。
でも、基本的に、「その時に」毎回一生懸命なので、そこが魅力的で、基本的に信用できる人だ。
同時に、上記のMCは3年前や去年ファンになった人を無視した意図の発言ではないはずで、言うなればMC慣れしていなかっただけだと思う。鬼束ちひろは同じように感謝しているはずだ。
*********************
話を僕の体験に戻す。
首都圏に住んだことはないのに、『ULTIMATE CRASH '02』にも参戦でき、今回の『シンドローム』ツアーでも最前列でコンディション良好な鬼束ちひろを観て聴くことができた僕はとても幸せなファンだと、つくづく思う。
でも僕、ファンとしてはもう「化石化」しつつあった。
今回、色々なファンの方とお話できた。
「2011年の岩見沢のフェスで、下手なギターを弾きながら歌う鬼さん、可愛いかったぁ」
「月光を歌おうにも声が出ず、ステージ上で涙ぐむちひろさんを観て勇気をもらった」
鬼束ちひろの、どんな姿に感動し、応援するか、それを十人十色に見い出せる存在に、彼女はなっていた。
こういった機会のおかげで、僕は石より少しは柔らかくなることができた…かもしれない。
15年ぶりの全国ツアーなので当然、『シンドローム』ツアーが鬼束ちひろの活動歴の中で大きなトピックスとなる。
まるで、追加公演も含めると全10公演・3ヶ月を超える大きな物語のようにも感じる(但し物語に例えると、終盤で慌しくエンティングに持っていってしまったのは惜しまれる)。
※さらに、花岡なつみさんに楽曲提供した頃からツアーまで、活動の流れをもっと長く捉える方も居られるようだ。
*********************
鬼束ちひろのこれからは、僕が今考えても全く意味がない…まずはゆっくり休息して欲しいだけ。
18日の公演以外でも、多くの地での公演のレポを寄せてくださった方々にも、改めて深くお礼申し上げたい。
それこそ紆余曲折あり過ぎて、僕は、今年に入るまで『月の破片』を読むことができなかった。そんな僕の拙い総括(じっくり振り返りまとめようとすると記憶が薄れてしまう;)は以上だが、
こういった時の変遷や、今回の活動を通して。
僕は改めて、鬼束ちひろという人が存在してくれることに心から感謝し祝福できるし、僕が鬼束ちひろのファンであることに喜びを感じる。そんな心境になった。