秘密にしておきたい事
それぞれ多少はあるでしょう。
病気のことも
もしかするとそうかもしれません。
私は3年前に乳がんが見つかり
治療を受けました。
今も薬は飲んでいます。
ちょうど同じ時期に
私の仲良しのAちゃんも同じように
乳がんが見つかりました。
彼女は私よりも楽なケースだったので
治療は終了しています。
さて、昨年日本に帰った時
そのAちゃんと
女子会をしました。
久しぶりの再会。
話がはずみます。
話はいろいろ家族のことや仕事のことなど
あちこち飛びますが
当然のこと乳がんの話にもなりました。
２人とも経験者ですからね。
そこで、友達のAちゃん
こんな話をしました。
同僚のBさん。
彼女とはとても仲良しだとか。
彼女も同じように少し前に
乳がんの手術を受けたといいます。
彼女は片方の胸を全摘したらしいのです。
手術の時は、会社にきちんと理由を説明して
お休みをもらったそうです。
その後、1年くらいしてから
再建手術をすることにしたとか。
その時の話に私は
びっくり！
「会社にね、なんか言いにくてね。
ハワイに1週間行ってくるので、有休とりま～す。」
と話したと言うのです。
更にわざわざ成田空港に行って
ハワイの定番の
マカデミアナッツチョコレートの
お土産を買って
職場でふるまったとか。
マジですか？
なんで、そこまでするの？
再建手術しますって
言いにくいのは理解できるけど
なぜ、ハワイに行くなんて言う必要があるのかなあ。
私は乳がんの診断を日本で受けましたが
アメリカでの治療を選択しました。
アメリカでは、普通は先ずは、
ファミリードクターへ行って
どうすべきか指示を受けます。
その時、先生が私に言った言葉。
「Don't worry.
Your cancer is a common one.
You are healthy and young.
You can handle this.」
心配しないで。
あなたのがんは、よくある普通のがん。
あなたは健康で若い。
大丈夫ですよ。
えっ？
よくある普通のがん？
健康で若い？
あの～先生。
私、がんですけど？
それにもういい年ですよ.....
この先生、決して冷たく私を突き飛ばすように
話したのではありません。
がんの診断を受けて
ショックだろうけど
みんな治療している
よくあるタイプのがん。
がんになったかもしれないけど
他にややこしい持病がないんだよ、君は。
だから、そういう人から見たら
健康じゃん
ってことなのでしょう。
友人の中に、イギリス人の遺伝子学を
専門に研究している友人がいます。
彼のお母さんも乳がんの経験者。
私のがんの話をしたら
「がんなんて、今じゃ風邪みたいなもんだよ。」
「つまり、誰でもなる可能性があるってこと。」
なるほど。
確かに、がんと診断される人は増えてきている。
明日は我が身。
昔は、がん＝死のイメージだったかもしれない。
だけど、今は医療の発展は素晴らしい。
昔に比べて、選択肢も豊富。
なのになぜ、ひたすら隠すのだろう？
周囲に気を使わせたくないから？
自分の健康管理が悪かったという
イメージを与えたくないから？
同情されたくない？
仕事のチャンスを逃すから？
隠したい理由は人それぞれでしょう。
でも、病気になって
恥じることはないのですよ。
私が、歯科医師だった時
ある患者さんが
「すみません。
私の口の中ひどいんです。
恥ずかしいです。」
とおっしゃいました。
結構そういう方が多かったです。
お口の中を見ると
治療しなくてはならないところがたくさん。
「私に謝らなくていいんですよ。
ごめんなさいはご自分に言ってあげてください。
だって、こんなになるまで、我慢してきたんでしょう？」
自分の体が大変なのに
他人や周囲に対して
気を使うって
悲しすぎます。
患者さんが一番つらいんですから。
そして、そんなに病気のことも
必要以上に
隠す必要はないと思います。
確かに言いたくない病気もあるでしょう。
プラカードを持って
宣伝する必要はないけれど
自分から発信すると
意外と、「実は私もなの」とか
色々な、役に立つ情報を
もらえたりもするものです。
秘密にして
悶々と
一人で悩むより
周囲も自分も
自然体で
病気と向き合える。
そんなに風な社会に
早くなってほしいです。