過去の失敗、辛い経験
そんなのないよ
なんて人おそらくいないと思います。
過去を振り返ったら、楽しい思い出より
嫌な悲しい思いの方が
次から次へと出てくるかもしれません。
かつての私もまさにそのうちの一人でした。
私の両親は、子どもの頃
戦争を経験しています。
母は、大阪に住んでいたので
自分の目の前で人が死んでいったり
負傷して苦しんでいるのを見たと言います。
学校帰り、焼夷弾が落ちてきて
必死で逃げて帰った経験もあるそうです。
そんな母に、ある時
「お母さん、あの時はつらかったでしょう?」
とある過去の出来事について
私が聞いたことがあります。
「ああ、そんなこともあったね。もう忘れたよ。」 ![]()
当時の私は、こう思いました。
どうしてあんな嫌なつらい経験を
”忘れた”なんて言えるんだろう。
それは、事実から目をそらしているだけだ!![]()
日本には「水に流す」
という表現があります。
お互いにあったいざこざを
なかったことにして、リセットする。
もちろん、内容にもよります。
水に決して流してはいけないもの
忘れてはいけないこともあるでしょう。
けれども、嫌な過去を
いつまでもいつまでも
繰り返し思い返し
その痛みを再び呼び起こす。
嫌いなあの人、酷いあの人を
憎み続ける。
そうすることで、一番損をして傷つくのは
果たして誰でしょう?
そう、自分自身です。
戦争を経験した母。
その辛い思い出は消せません。
この思い出は、彼女が望んだことではない。
だからこそ、記憶として自分が選択できる
忘れていい嫌な思い出を
“水に流す。忘れる。”ができるのかもしれません。
水に流すことができたから
かつての敵国であったアメリカにも
移住できたのでしょう。
悲しい思い出、つらい出来事、嫌な経験。
手放してみることもいいかもしれません。



