先日ヤホーで面白そうなアニメを見つけたんですけどね。(ナイツ風)
『SPY×FAMILY』って知ってます?
「アーニャ、そうすけ、好き―!」(違う)
そんなわけで、またまた今更ながら『SPY×FAMILY』のシーズン1を見終わった我がキャンファミリーでありますが、なるほどこれは面白いというか、売れるべくして売れた作品といった印象だ。
しっかりと金をかけて作られたハイクオリティなアニメーションに、有名アーティストが作品のために書きおろしたOP、ED曲。
スパイだの殺し屋だのというハードな設定ながら比較的家族でも安心して見られる絶妙な匙加減。
ロイドさんはスマートでかっこいいし、ヨルさんはエロさんだし、何よりアーニャの可愛さが作品の魅力を決定付けている。
多分あれだよね、全ての秘密を知っているのがアーニャだけっていうのがいいんだろうね。
普通であれば「任務のためにこさえた疑似家族」という秘密が露呈してしまった場合一番傷付くのはアーニャであり、そこで切ないドラマの一つでも展開されそうなものである。
ところが超能力者であるアーニャは委細承知之助!
切ないドラマどころか逆にコメディへと変換している。
これも、余計な心配をせずに安心して見られる要素の一つだ。
しかし改めて、一人の漫画好き、アニメ好きとしては、今は本当にいい時代になったものだと思う。
しっかりと金をかけたハイクオリティなアニメが次々と製作され、各企業も話題作に率先してコラボ&コラボ。
世間も広くこれらの作品を受け入れ、心置きなくエンジョイしている。
今の令和キッズにはピンとこないかも知れないが、俺が灰色の青春を謳歌していた20数年前は、アニメが好き、ゲームが好きなどと言えば周囲360°から白い目で見られ、あるいは犯罪者予備軍のように扱われ、近しい友人からでさえ「キモい」というシンプル悪口を投げられたものだ。
時折、テレビのバラエティー番組などで所謂「オタク」が取り上げられることもあったが、その扱いはと言えば純度100%の嘲笑。
一体どこで見つけてきたのかと小一時間問い詰めたくなるようなテンプレキモオタを登場させ、スタジオで大いに笑い者にしていた。
さらに言えば、テレビ業界におけるアニメーションの地位も著しく低く、某有名アニメの主演声優でさえ、テレビ業界人からは「アニメの声優?ふふん」みたいな感じで見下され、なにくそと歯を食いしばっていたと、後に述懐している。
それを思えば今はいい時代ですよ。
前述のように多くの人たちが誰に臆することなくアニメ好きを公言し、ありとあらゆる製品でアニメとのコラボが溢れ、テレビ番組でもアニメファンを少しでもバカにするような発言があれば即座に炎上…。
すっかり市民権を得たもんだなぁ!と、思わず遠い目になってしまう。
昨今のこのぬるま湯のような状況を妬ましく思う気持ちが全くないと言えば嘘になる。
ともすれば、「ワシの若ぇ頃はなぁ!」などと、老害のテンプレ発言を繰り出してしまうかも知れない。
しかし40も過ぎ、古参のオタクとして今のアニメないしオタクを取り巻く環境を眺めながら、俺はこう思うのだ。
「あの厳しい時代乗り越え、それでも貫いた“好き”は強ぇぞ」と。(かっけぇ…)
同年代の女子からはバイ菌のように扱われ、あるいは最早居ないものと見なされ、友人からでさえ「キモい」というドストレートパンチを食らい、それでも好きでい続けたアニメ、ゲーム、漫画…。
童貞であれば大魔法使いレベルのこの年になれば、今さら他人からどうのこうの言われたくらいでは、この「好き」は毛ほども揺るがない。
なぁそこの若けぇの、あんたにその覚悟がおありかい?
まぁそうは言っても、キモいことはキモかったよね、キモオタは。(台無し)
だってエロゲパッケージのでっかい紙袋を堂々と電車の中でモロ出しボンするんだぜ?
少しは気を使えって話ですよ。人として。
とまぁ、何だかんだと偉そうにアニメ界隈の今昔を冷徹に分析しながら斜に構えている俺氏41才なわけだが、気が付けば我が家にアーニャグッズが増えているのはなぁぜ?なぁぜ?
ご覧の通り、結局のところキモオタの部屋に幼女のフィギュアが増えたということしか伝わらない結果となった今回のアイドリングトーク。
そんな我々キモオタはまた、常に心の片隅に、こんな叶うべくもない儚い願いを抱いている。
美少女フィギュアに魂が宿って動き始めねぇかなぁ!と。
太古の秘術で人形が動き出す!?
ホラーにスリルにドラマにと盛り沢山!
アーニャ、ワクワク!
それではストーリー!
まずは冒頭、人形使いのオッサンの工房に、美人女泥棒さんが侵入してくる。
どうやらこの女泥棒さん、今は亡き伝説的人形使いトゥーロンの秘術を探っているらしく、トゥーロンから人形を受け継いだこのオッサンを脅して秘密を吐かせようという腹だ。
なんでもトゥーロンは、人形に命を与えることができたと言う。
オッサンはトゥーロンの生涯を語り始める。
語り始めるっていうか、なぜかテープレコーダーを再生する。
若くして天才的人形使いとして成功を修めたトゥーロン。
エジプトはカイロでの公演も盛況のうちに幕を閉じたが、トゥーロンはこの地で、人形に命を与える太古の秘術を知る。
しかし幸せは長くは続かなかった!
人形に命を吹き込む太古の秘術を巡り、謎の悪い奴らが暗躍!
卑劣にもトゥーロンの恋人を人質に取り脅しをかけてきた!
しかし今やトゥーロンは一人ではない!
志しを同じくする仲間…いやさファミリーがいる!
そう、人形たちですね!
『パペット・マスター』完!
そうして時は流れ、舞台はナチス統治下のドイツ。
すっかりおじいちゃんになったトゥーロンは、美熟女milfな妻と二人で人形劇の興行なぞを打ち、子供たちの笑顔に囲まれて幸せな日々を送っていた。
しかし幸せは長くは続かなかった!(3分ぶり二回目)
なんせ人形劇の内容がまずかった。
例のお髭の総統閣下を思いっきり小馬鹿にしたような風刺劇がナチスに目を付けられてしまった。
しかも悪いことに、秘術の存在にも勘づかれてしまったようだ。
早速ナチスのお偉いさん方が兵士を連れてトゥーロンの元を訪れ、劇団の解体を命令、トゥーロンを連行し、秘術に使う秘薬も持ち去る。
さらにあろうことか、抵抗した美熟女milfを射殺!
許せない!やつらはただではすまさぬ!
復讐を心に誓うトゥーロンだが、そうは言っても彼は最早おじいちゃん。
残忍極まりないナチスの軍人どもに抵抗する力などないかに思われた。
しかし今やトゥーロンは一人ではない!
志しを同じくする仲間…いやさファミリーがいる!
そう、人形たちですね!
↑ちなみにこの少年が語り部のオッサンだ。
『パペット・マスター』完!
さらに時は流れ~中略~幸せは長くは続かなかった!(二分ぶり三回目)
美人女泥棒さんの話によると、語り部のオッサンと別れた後のトゥーロンはほどなくして、ナチスの残党に追い詰められ自害して果てたという。
本来の主人を失った人形たちはその後、なんやかんやあって、インテリっぽい雰囲気のオッサンの手にわたった。
ネットオークションで!
オッサンには美人の娘がおり、オッサンの工房?かなんかで働いている青年も真面目で心優しい好青年だ。
しかし幸せは長くは続かなかった!(一分ぶり四回目)
美人な娘ちゃんの寝所にムキムキレイプ魔が侵入し彼女を手込めにしようとしたのだ!
しかし彼女も一人ではない!
最高に頼りになる仲間…っていうかナイトがいる!
そう、人形たちですね!
遂に人形たちは禁忌に手を出した!
秘薬の力を使ってなんと死んだはずのトゥーロンを生き返らせてしまったのだ!
しかし長らくお墓にインしていたトゥーロンの体は、控え目に見ても出来損ないのゾンビ。
しかしトゥーロンには腹案がある!トラストミー!
驚くべきことにトゥーロンは、予め用意しておいた等身大の人形に自分の魂を移し、新たな体を手に入れたのだ!どういう理屈かはさっぱり分からんが!
そんな新生トゥーロンのご尊顔がこちら!
遂に甦った伝説の人形使いトゥーロン!
暴走して道を踏み外すトゥーロン!
正義の心を失わない人形たち!
何がしたかったのか分からない女泥棒さん!
何がしたかったのか分からないオッサン!
何がしたかったのか分からない本作!
果たして俺は、無事に今回のレビューを着地させることができるだろうか!?
…いやぁ、まるで何本もの映画をいっぺんに見たような気分だなぁ!
毎度お馴染み、俺の桂剥きのように薄っぺらい知識では知らなかったことだが、どうやらこれまでにかなりの作品が作られていたらしい『パペット・マスター』シリーズ。
本作はそれら複数の過去作を一本にまとめた、いわば総集編的一本だ。
一部アニメなどではテレビシリーズを再編集して劇場版として公開するという手法はお馴染みだが、まさかB級ホラーでお目にかかるとは思わなかったなぁ!
元々個人的に、アニメの総集編的劇場版に対してあまり肯定的ではなかった俺だが、本作はもうそんなレベルの問題ではなく、シンプルに編集が下手くそ過ぎて鼻血が出るほどの分かりにくさと唐突感を実現している。
一応構成としては、人形使いのオッサンが語り部となり、あるいは女泥棒さんとの掛け合いで補足しつつ、過去作の映像を繋ぎ合わせながらトゥーロンの生涯を振り返る、という形だ。
しかしながら、語り部もオッサンで一貫しているわけではなく、老トゥーロンになったり若トゥーロンになったりで、誰がどの立場で語っているのか訳が分からない。
時系列的にもあっちやこっちやと飛びまくって混乱を来す。
そもそもテレビアニメと違って、B級ホラーのシリーズなんてストーリーの連続性なんてあってないようなもんなんやから。
登場人物だって毎回違うし、人形も変わったりしてるし、作品のテイスト自体も全く違っているし、そりゃ雑に繋げただけじゃ訳分かりませんわ!
↑特にこのエピソードの唐突感は異常。
過去作の存在さえ知らなかった俺が鑑賞中、アーニャの言動が理解できないロイドさんのように「落ち着け黄昏…」と自分に言い聞かせていたことは言うまでもない。
さりとてシリーズを網羅している『パペット・マスター』マスターが本作を見て「やったぜ!」と思えるかどうかは分からない。
よく、「シリーズを知らなくても楽しめるが知っていればより楽しめる」なんて話は聞くが、本作については「シリーズを知らなければ全く付いて行けないが知っていたとて面白くはない」という評価に落ち着くのではないだろうか。
強いて言うならば、この『パペット・マスター』シリーズの多くは、近年までディスク化されていなかったらしく、ぶつ切りながらこうしてDVDに映像が納められたこと自体に、意義があったのかも知れない。
それも今となっては用なしだがな!
(1から3までを同梱したBlu-rayボックス絶賛発売中!みんなもパペマス、ゲットだぜ!)
ここまで割りとボロクソの評価となってしまった今回のレビューだが、とは言えこの『パペット・マスター』が人気シリーズとして数多くの続編が作られた理由もよく分かる。
『SPY×FAMILY』の人気の理由がアーニャにあるように、『パペット・マスター』の人気の理由も明確だ。
そう、人形たちですね!
↑序盤に(カンパネルラー!)しか登場しないサイクロプスくん。
本作の真の主人公とでも言うべき殺人人形たち。
トゥーロンさんに会ったらなんでこんな人形作ったのかと小一時間問い詰めたくなるようなインパクトのあるビジュアルで、見る者の心をガッチリハートキャッチプリキュア!
もちろん本作はどこへ出しても恥ずかしくないB級ホラーなので、ハリウッドの超大作映画のような美麗グラフィックでヌルヌル動くわけではない。
むしろどちらかと言えば『ひょっこりひょうたん島』寄りの、操り人形感丸出しのチープな風情を常に漂わせている。
だが、それがいい。
その、どこか拙い、ぎこちない動きに、だんだんと愛おしささえ覚えてくるという寸法だ。
特に、最初のエピソードの鍵開けが必要な場面で、お医者さんコスのガイコツ人形が「ぼく鍵開けできるよ!ぼくを使って!」と言わんばかりにピョコピョコとアピールする様の可愛さは異常。
それではここで、最高にイカしたファミリーのメンバーを紹介するぜ!
まずはファミリー一番の力自慢、ピンヘッド!
また、彼ら人形の魅力はその造形や所作だけではない。ぶつ切りのエピソードが目まぐるしく変化していく本作にあって、彼ら人形だけは一貫して一本筋の通った正義の心を持ち続けていたことだ。
持ち主やその大切な人が危ないと見るや協力してこれを助け、悪人どもには相応の報い(この世にグッバイ)を受けさせるという必殺仕事人っぷり!
小さな体の不利を補うため、人形それぞれの特技を活かし、力を合わせて戦うその姿はまさにワンチーム!
人形のオリンピック(パペリンピック)があれば金メダル間違いなしのチームワークだ。
また、途中の(唐突感満載な)エピソードでは、地底から甦った魔物(なんじゃそりゃ)と壮絶なバトルを繰り広げ、地上を救ったりもしていた。
何より特筆すべきは、例え持ち主でも道を踏み外せば容赦しないという点だろう。例えばこうだ。
ネットオークションで図らずも人形たちを手に入れたインテリっぽいオッサン。
始めのうちは家族と共に和気あいあいとやっていたが、オッサンが罪なき好青年を狂った人体実験の犠牲にしたとたん態度が一変!
↑人体実験の成れの果て。オッサンさぁ…。
哀れオッサンは、人形たちからキツいお仕置きを食らい、この世にグッバイしてしまうのだった。
さらに最終エピソードではこうだ。
秘術の力でトゥーロンが甦り、出来損ないの森進一みたいな等身大人形に魂を移したまでは良かった。
ところがトゥーロンはさらに、かつてナチスに殺された熟妻を人形として甦らせるために、罪なきリア充カップルのギャルを殺そうとしていたのだ!
ただ話によると、途中で強キャラ感満載のデブオバサンが巻き添えで殺されてたらしいが、まぁ気にすんな!
そんなわけで、アーニャレベルの超能力必須の編集のまずさでひどく難解ながら、カルト的人気の一端くらいはギリギリで垣間見えた本作。
仮に人形が勝手に動き出したとしても、正しい心と人形を大切にする愛情が何よりも重要だと教えてくれる。
例えそれがスカートの中のおぱんちゅまで詳細に作り込まれたエロフィギュアだったとしてもだ!
アーニャ「アーニャ、こいつきらい」