わたしがその男と初めて出会ったのはアルバイト先のコンビニだった。

ただでさえ、人見知りのうえに、高校を中退した身分のわたしには面接が不安でしかたなかったが、そのコンビニは子供の頃、当時は酒屋さんだった頃から見知っていることもあり、少しは気が楽だと最初からここに決めていた。

最近はほとんど利用することがなかったが、当時の話をすると店長のご主人は元々が話好きだったようで、面接は何の問題もなく合格となった。
ただ、履歴書の高校中退という箇所に触れたときだけは店長の表情が微妙に曇ったことをわたしは見逃さなかった。

仕事は決して楽しいというわけではなかったが、与えられた役割を黙々とこなすことで、いろいろと考えたり悩んだりすることからは解放された。
夕方からや深夜のシフトだったなら若いアルバイトが多く、また違った雰囲気だったのかもしれないが、本来なら学校に行っていた時間に働くことを選んだわたしの話相手はもっぱら店長夫妻かパートの奥さんたちで、わたしから話しかけることはほとんどなかった。
とはいえ、苦痛というわけではく、じょじょにおばさんたちの話を笑って聞き流すたくましさも身についた。
元々が人見知りのわたしには、かえって同年代の中で働くよりも慣れ親しみやすかったのかもしれない。
少しずつ仕事にもなれ、他のシフトの人たちの名前もすべて覚えるころには、以前よりもだいぶ人と話すことに抵抗がなくなっていた。

「おまえかわいいじゃん?」

会計を終えた若い男がレジの前から去らず、こちらもなんとも微妙な表情を浮かべていると男が言った。

「ありがとうございます」

わたしはすぐに背中を向け、する必要もない作業を始めた。
人見知りのわたしがナンパされることに慣れているわけもない。
男の顔はどちらかというと嫌いなタイプではなかったが、斜視気味の目が爬虫類を思わせ、強烈な嫌悪感を抱いた。

14~16時頃はお客さんも少ないため、その日も含めて店内にはわたしひとりということも多く、誰かに救いの手を求めることはできない。

…背後から…男の気配が消えない…

ねめつけるような目線でわたしの体を値踏みし…頭の中でわたしを犯している…

わたしは背中に寒気を覚えて振り返ると、やはり男と目が合った。