港から帰ってきたキャンディは、まっすぐに屋敷の母屋にある大広間にむかった。屋敷で一番広いその部屋は仮設病院の病室として使われていて、年齢や怪我の度合いが異なる男性患者たちが収容されている。


患者たちは、怪我の痛みや事故のショックで眠れない日々を過ごしていたが、今、目にするその病室は優しい午後の雰囲気に包まれていて、キャンディは思わず微笑んだ。


ボランティア看護師たちは夕食作りの前に休憩をとるのが日課になっていて姿がなかったが、部屋にはDr.トーマスと看護師ふたりがいて、患者を交えて皆でワイワイおしゃべりに花を咲かせていたからだ。


Dr.トーマスは明るくおちゃめな性格であったし、ふたりの看護師たちも子供がすでに成人しているベテランたちで、Dr.トーマスとはとても気があっていた。


彼らは突然現れたキャンディに対しても医療に関する色々なことをアドバイスしてくれ、いつも優しく接してくれる。もちろん、テリュースとの関係もボランティア看護師たちと違って詮索したりせず、何も言わず、温かく見守るスタンス。


そんな三人が患者たちと過ごす時間。中には、まだ起き上がることもままならない老人もいたが、彼ですらベッドに横たわったまま、顔だけはDr.トーマスの方へ向けてニコニコと会話を聞いているくらいだった。


そもそもこの時代は身体のケガを治すとともに心のケアもするという概念が少なかったが、Dr.トーマスは長年の経験から、『ケガをした患者は、どんな人でも大なり小なり心に傷を抱えることになる。心も含めて治療しなければならない』と考えていた。


ましてやその屋敷にいるのは、予期せぬ爆撃で死に直面した人々。夜、悪夢にうなされる彼らに必要なのは薬だけではないと思っていたのだ。人生の大先輩として、また医者として、心に負った深い傷を癒すため、部屋にいる皆で楽しい時間を過ごそうとしていた。


顔をのぞかせたキャンディが、『戻りました』の意味を込めて軽く会釈をするとDr.トーマスがキャンディに声をかける。


「やぁ、帰ってきたね。これからテリュース君の病室に行くんだろう?ちょっと話したいことがあるから、後でカンファレンスルームに寄ってもらえるかい?」


キャンディが『はい、わかりました』と答えると、じゃあ、頼んだよというように右手をあげて、また患者たちを笑わそうと話を続けるDr.トーマス。


キャンディはドアをしめ、テリュースの病室のある屋敷の離れの棟にむかった。


窓から差し込む光が漆喰の壁に囲まれた薄暗い廊下を照らし、チュンチュンと小鳥のさえずりも遠くから聞こえてくる。


キャンディが、"テリィは起きているかしら"とウキウキしながら一番奥のテリュースの病室に近づいた時、部屋の中からガシャーンと何かが床に叩きつけられる音がして思わず廊下に立ちすくんだ。


「約束が違う!」


テリュースの怒声。それに続く冷静な低い男性の声。


「残念ながら、あの時と今とではテリュースさまのお立場が違うのです……。はからずも……違ってしまったのです」


「何が違うって言うんだ。そんなのはあんたらの勝手な思惑だろう?」


「テリュースさま……」


「俺はグランチェスター家を出た人間だ。ダグラス卿、あなたがその残り香まで消しておけ、というからわざわざこうやってイギリスまで帰ってきたんだ。それを今さらレイモンドが戦死したからといってグランチェスター家のため、跡継ぎとして振る舞えなどとよく言えたもんだな。あなたが俺に正式に手続きをとって出ていけと言ったのは、ほんの数ヶ月前だ」


「テリュースさまがそうおっしゃるのもよくわかります。私もニューヨークで、正式にグランチェスター家を出る手続きをしていただくように申し上げました。ですが、レイモンドさま亡き後、グランチェスター家の男子はテリュースさまおひとり。事情が変わったのです」


「何がグランチェスターだ、何が事情だ。そんなもの、クソくらえだ!」


キャンディには部屋の中の様子が手に取るようにわかった。部屋にいるのは、おそらくグランチェスター家の関係者。正式にグランチェスター家を出て行くように言っておきながら、跡取りが亡くなると今度はテリュースを跡継ぎにさせようとするグランチェスター公爵。


かわいそうなテリィ。ずっと孤独だった少年がやっと見つけた俳優としての道。それすらを奪おうと言うの?キャンディは部屋の中にいるテリュースを今すぐに抱き締めてあげたい気持ちだった。


「グランチェスター家は、イギリスに11ある公爵家のひとつ。イギリス王室にも連なる高貴な家柄を絶やすことはイギリスという国があるかぎり名誉にかけてできないのです。それほど重大なことなのです」


どこまでも穏やかな声ではあるが、凛とした意思の強さを秘めた声でもあった。


「そんなこと知ったこっちゃない!あの人が幼い俺になんと言っていたか知っているか?俺をどう扱っていたか知っているか?それを今さら………」


『テリュースは貴族の私生児』

そんなことを口にするセント・ポール学院の生徒たちもいて、キャンディにもテリュースの家の事情は薄々わかっていた。レイモンドと言うのは、テリュースの異母兄弟なのだろう。その異母兄弟はもしかしたら大戦に参加し、亡くなったのかもしれない。テリュースが戦下の中、イギリスに帰ってきた理由もキャンディには納得できた気がした。


「テリュースさま。リチャードさまもテリュースさまと同じ立場でいらしたのです。どうかリチャードさまのお気持ちも……」


「うるさい!そんな話しは聞きたくもない。帰れ!とっとと帰ってくれ!」


少年の頃は、目の前のその人にそんな口のきき方をしたことはなかったテリュースだが、今はもう憎い父親の手先でしかなかった。


「……また、まいります、テリュースさま」


穏やかな声がそう言うと突然ドアが開き、年配の紳士が病室から出てきた。


一瞬。
キャンディはその男性が、セント・ポール学院の廊下でぶつかってしまったテリュースの父親、グランチェスター公爵だと錯覚してしまう。


それほど似た雰囲気だった。きちりと整えられた髪、仕立てのよいスーツと手にしたコート、育ちのよさを漂わせるオーラ。しかし、目の前の紳士は、グランチェスター公爵より柔らかな眼差しだった。


彼は、廊下にいたキャンディに気づくと心の中を覗き込むようにじっとその緑の瞳を見つめたが何も言わず、会釈をして無言で立ち去っていく。


いったい誰なんだろう?


その後ろ姿をぼんやり見送っていたキャンディは、ふっと『私ったらつくづく、テリィが見られたくないものを見てしまう運命だわ』と思う。エレノア・ベーカーの写真に書かれたメッセージを偶然見てしまった時も。それにスコットランドの別荘でもそうだった。あの時もエレノア・ベーカーと言い争っていた……。


幼い頃からずっと心に氷のよろいをまとって生きてきたテリィ。今も部屋の中で、テリィがあの時と同じ暗い目をしていたら側にいてあげたい。キャンディは、迷わずドアをノックした。


部屋に入るとテリュースは杖をつき、背を向けて窓の外を見ていた。そして振り向かずに言う。


「キャンディ、聞いていたのか?」


「……ごめんなさい。聞いてしまったわ」


キャンディが謝ると、

「君が悪いわけじゃない。でもなぜか君はこんな時にいつも現れるな」

そう言って、振り返ったテリュースはもう静かな瞳をしていて、キャンディにしか向けない優しい眼差しを注ぐ。テリュースが心の中でキャンディと同じあの日のことを思い出しているのがわかった。


テリュースは、そのまま愛おしそうにキャンディを見つめながら、コツンコツンと杖をついてゆっくり彼女に近づいた。そして長身をかがめて、秘密を打ち明けでもするようにキャンディの耳元でささやいた。少しかすれた声で。


「……キャンディ、どこか遠いところへ行かないか?」


頭で考えたというより、『想い』が唇からこぼれ落ちた、そんな感じだった。


「遠いところ……?」


「そうだ。……俺たちを知る人間が誰もいないところだ」


止められないテリュースの思い。そうだったのだ。もっと大人だったら……あの時、セント・ポール学院でテリュースはそうしたかったのだ。キャンディを連れて…。


「何もかも捨てて……、すべてを忘れてふたりだけで暮らさないか?キャンディ、俺と行くのは嫌か?」


「…………テリィ……」


言いたいことはわかりすぎるくらいキャンディにもわかった。理性で押さえきれない想いにふりまわされるのはテリュースだけではなかったから。


テリュースが、サラサラと落ちてくる栗色の髪の毛をかき上げてキャンディの緑の瞳を覗き込む。普段ストラスフォード劇団で見せる冷徹な面影はどこにもない。まるでキャンディに許しを請うように不安げな眼差しを向けるテリュースに、彼の前では本当の気持ちをありのままに言っていいのだと不意に気づくキャンディ。


「……ううん、テリィ。行きたいわ、わたしも」


テリュースの言葉にキャンディの胸は痺れる。そうなのだ。キャンディはそう言ってほしかったのだ。セント・ポール学院を出てアメリカに向かう船上のテリィにも。雪の中、ポニーの丘に足跡を残していってしまったテリィにも。走り去る列車のデッキに立つテリィにも。キャンディは心の中で叫んでいたのだ。『一緒に連れていって』と。



「そうできたら……」


俳優はどうするの?ブロードウェイは?スザナのことは?そんなことは聞かなくてもわかっていた。テリュースは俳優の道を捨て、キャンディと生きようと言ってるのだ。キャンディにもテリュースを思うがゆえ言えなかった言葉がたくさんあった。だが今は……。


「……ううん……。そうしましょう、私たち」


キャンディの決意の声だった。


テリュースはその言葉にもうこれ以上心を止めることができなかった。杖を手離すとキャンディの腰をぐいっと引き寄せ、両手できつく抱き締めた。苦しいほどの抱擁。洋服越しのお互いの温もりがひどく心地よくて、これが正しいのだと思えるふたりだった。


「キャンディ。離さない。もう2度と俺を置いて行くな」


抱えていた「熱情」が流れ出る。キャンディは自分の人生から消え去った亡霊だと無理やり記憶の底に沈めていたテリュースだが、キャンディに会ってしまったらもう歯止めはききそうになかった。



「……君を…………愛している……」


言ったことは1度もなかった。口にするチャンスはいくらでもあったのに言えないでいた。それまで、何一つキャンディに自分の抱く想いを言葉にして伝えたことはなかった。


「キャンディ、愛している」


もう一度テリュースは言った。


何がきっかけでそう思うようになったのか、なぜキャンディにだけそう思うのかテリュース自身もわからない。初めて会った時から愛していた気がする。どこが好きなのかと問われても正確な言葉は見つからない。





何が正しくて、どうするべきかも本当はテリュースにもわからない。そんなもの考えたくもない!


もしキャンディに愛を告げることが罪であるならば、喜んで地獄に落ちよう、テリュースはそう思った。そして彼はきつく抱いた腕をふっと緩める。
テリュースの端正な顔がキャンディを見下ろして告げる。


「……愛しているんだ、キャンディス・ホワイト・アードレー」


今度はどこまでも甘い声。そのテリュースの眼差しに熱が灯るとキャンディの心臓が激しく動悸の音を奏ではじめる。


「私もよ……テリィ。愛しているわ。もうずっと前から」


ごく単純で明快な答え。ずっと前から抱えてきた気持ちだった。


テリュースの指がキャンディの頬に優しく触れる。その指はひんやりとしているのに、キャンディには触れられた場所がやけに熱く感じられた。テリュースは、キャンディの頬を愛おしげに両手で優しく包むとゆっくりとキャンディの唇に顔を近づける。


引き寄せられるように重なる二つの唇。


初めて交わしたあの時のキスと全く違う────。奪うようなのに優しい唇。


あの時よりも。

もっと熱くて。

ずっと近くて。

頬に触れる手も唇もキャンディへの思いに満ちている。


「……キャンディ」


吐息が重なり、どこか頭の中が痺れたようで、苦しい。


だけど、身体の奥にわき上がってくる甘い何か─────に、胸の奥が締めつけられる。


キャンディはもうその何かわからないものに逆らうのは止めにした。心のままテリュースを受け止める。すべては後で考えよう、そう思った。

しかし。
……長かったのか、それとも一瞬だったのか、ふたりが永遠を願った時間は不意に終わりを告げる。


突然。


「……うっっ……」


テリュースが小さくうめき、キャンディを抱き締める腕の力をふっと緩めた。キャンディが、その腕から解放されると心配そうに声をかける。


「テリィ、大丈夫?」


「……チクショー。こんな時に」


テリュースは悪態をついて痛む脇腹を押さえ、痛みがおさまると今度は名残惜しそうに親指で撫でるようにキャンディの唇に触れた。そしてキャンディの顔をじっとのぞきこみ、やがて口の端を上げて悪い笑みを浮かべた。


「もうキスしても不良だって殴らないんだな。それに今はキスされるのが嫌じゃないって顔をしてるぜ」


「やだっ、テリィ。そんな言い方しないで。それにあんな昔のこと覚えていたの?」


キャンディは、ああ、テリィだわと痛いほど感じる。当たり前のように投げかけられるドギツイセリフに、あの時と同じようにキャンディは赤面してしまう。言った本人はケロリとしているのに。しかしキャンディの口をついて出てきたのは別の言葉だった。


「まあね、私だって色々経験してるんだから、あの頃とは違うのよ」


「誰だ?どいつとそんなことを?」

テリュースがムッとして、キャンディの肩をぐいっとつかむ。


「嘘よ、嘘」


照れ隠しの冗談のつもりで言ったキャンディだが、テリュースの剣幕に言ったことを後悔してしまう。


そんなキャンディをテリュースはもう一度強く引き寄せ、抱き締める。


「冗談でも言うな。そいつを絞め殺したくなる」


キャンディはわかったわと言うように背中に回した手でとんとんと優しくテリュースの背中を叩く。するとテリュースがキャンディを見下ろして尋ねた。


「キャンディ、今言ったこと、後悔しないな?」


テリュースの言葉には、どこかヒリヒリとした飢えのような思いが感じられた。


キャンディはテリュースのそんな気持ちをまるごと包みたくて、何も言わず微笑むとつま先立ちをして、長身のテリュースの唇に優しくキスを返した。
口にはしなかったが、あなたとなら地の果てまでも行くわと気持ちを込めて。


そのキスの意味を十分に受け取ったテリュースが顔を引き締めた。


「ここから遠いがスコットランドにグレトナ・グリーンってところがある。まずはそこに行こう。そこは21歳になっていなくても結婚を許可してくれるんだ」


テリュースの『一緒に行く』という意味が『婚姻をする』という意味なのだと気づいて、キャンディはテリュースの言葉に目眩(めまい)がするような気がした。


イギリスでは親の許可を得た21歳以上の男女にしか婚姻が許されない。しかし、グレトナ・グリーンは、イギリスの婚姻法では許されない結婚を望む若いカップルが駆け落ちをしてくるところだった。そこに行けばふたりは夫婦になれるのだ。


「まずそこに行って、その後リバプール港からオーストラリアを目指そうと思う」


テリュースはほんの数分前まで考えていなかったことが次々と計画として自分の口からこぼれるのが不思議だった。俺は心のどこかでキャンディに再会した時から計画していたのだろうか?それを願っていたのだろうか?そんなことをチラリと思ったが、それよりもキャンディに伝えなければならないことがあった。


「俺とキャンディが一緒にいなくなるとすぐにバレて追っ手がかかることになる。ここ(イギリス)じゃあ、グランチェスター公の力は絶大だからな。まず、キャンディが適当な理由をつけて先にグレトナ・グリーンに向かってくれ。ちょっと友達のところに行ってくるとでも。列車のチケットは俺が知り合いに手紙を書いて手配してもらうから大丈夫だ。そして俺はその後、隙を見て君の後を追う」


「無理よ、テリィ。まだあなたはけが人なのよ」


慌ててキャンディが言うが、テリュースは耳を貸さない。


「ケガが治ってからなんて言っていると父さんがどんな手を使ってくるかわからない。お願いだ、キャンディ。俺の言うことを聞いてくれ」


キャンディにはテリュースが恐れていることが何であるのか、よくはわからなかったが、父親が絶大な力を持っていて自分たちのことなどどうとでもできるのだとだけは理解できた。


「わかったわ。テリィの言うようにするわね」


だがアルバートさんにも行き先は告げられないのだと思うと親不孝な娘を許してと心が痛むキャンディだった。もう二度とアルバートさんの穏やかな微笑みは見られないの?


寂しい……でもテリィがいれば……その言葉に嘘はなかった。




そしてすぐその後。
テリュースは、キャンディが『トーマス先生から話したいことがあるって言われてるから行かなくちゃ』と部屋を出ていっても、いつも感じる鉛のような"孤独"は、もう感じなかった。

(*イギリスの婚姻法は、現在はこの当時と違っています)




次のお話は
⬇️
 






いつも拙い私の物語を読んで下さってありがとうございます。深く深く感謝しています💕


『キャンディ、どこか遠くへ行かないか?誰も俺たちのことを知らない土地で、ふたりで暮らそう。』

できるなら。叶うなら。
ロックスタウンでテリィからキャンディに言って欲しかった言葉です。あの時、そっと立ち去ろうとするキャンディを追いかけ、『ふたりで逃げよう』と言って欲しかった。すべてを捨てて、ふたりの愛を貫いて欲しかった。たとえそれができなくても、テリィにそう言って欲しかったんです、わたし。小学生の頃も。

これが、前回お話した『テリィに与えて欲しかったこと』です。

でも、名木田先生はキャンディにもテリィにも『愛に生きる』だけではなく、『ひとりの人間としてそれぞれが選んだ職業を貫く強さを身につけ、自立して欲しい』と考えられていたので、そんなシーンを見ることはできませんね💧

でも、だからこそ。私は、この言葉、このシーンのために「永遠のジュリエット」を紡いできたと言っても過言ではありません(笑)
どちらの先生のことも尊敬し、大好きですが、やはり『スイートなラブストーリー』にしたいいがらし先生を支持したいです💕

キャンディの深い深い愛をテリュースはやっと知ります。どれだけキャンディが深くテリュースを愛しているか。そして同じようにテリィがキャンディを愛していることをきちんと言葉で伝えました。

キャンディの心を知ってテリュースのどこか孤独で空虚だった心が愛で満たされます。キャンディはテリィを愛しているのです‼️きっとその「確信」「自信」はテリィの心にしっかりと根付くはずです。

ですが。
名木田先生のファイナルストーリーによるとテリィは、スザナの闘病を支えながら『ハムレット』の公演を大成功させています。
エレノア・ベーカーからキャンディに贈られた公演のチケットは使われることのないままになったようです。キャンディはその『ハムレット』公演の時にどこにいたのでしょうか?残念ながらキャンディはテリィのそばにはいません。側にいたのはスザナ。

そこで私はテリィはスザナのそばにはいるけれど、心はもうスザナのところに向かう要素はまったくないように『キャンディの手紙を隠したスザナ』をテリィに知ってもらいました。
だって、スザナが手紙を隠したのを知らず、仲良く?数年?or十年近く?も一緒に暮らしていたテリィが、スザナ亡き後、キャンディに『俺は何も変わっていない』って手紙を書くのは同じ女性として嫌だなと思うんです。不誠実というか。それにスザナの所業(手紙を隠すとか)を知らなければ、テリィの中で、義理や思いやりの気持ちがスタートだったとしてもやはり深い『情』のような物が芽生えると思うんです。それも嫌で(笑)
でも、ふたりが憎しみあっていた、というのも絶対に違うと思いますが。

ファイナルストーリーにある30代になったキャンディが暮らしているのはきっとテリィ💕だからそれまでにどんなことがふたりにおきたのだろう?と考えました。

もちろん。大前提であるのは、キャンディキャンディは、漫画である、ということです。架空の物語。現実ではないのです。だから『正解』はありません。当初、現実的なFS となかよしの世界観の違いに悩みましたが、やはり私はなかよしの世界観が大好き💕なかよしの若いふたりをイメージしながら妄想しています。

そして。私はあのFS のラストシーンを新婚の(笑)テリィ夫妻だとは思っていません。もうずーっと(何年も)テリィの側にいるキャンディがたまたまふっと昔を思い出している時間だと考えました。

テリィからの手紙をきっかけに再会を果たしたというのが一番自然な解釈ですし、私もそうであって欲しいと思っていますが、テリィからの手紙は、かなり早くに(若いうちに)キャンディに届いた💕と設定したいと思っているんです。つまり、テリィはかなり年若くしてハムレットで成功をおさめると想定しています。

だって(笑)
そもそも、別れた元カノに手紙を送るのは、普通はやはり別れてから数年までだと思うんです。あまり長い時間がたっていると難しいですよね。例えば新婚でラブラブなキャンディに元カレ、テリィからのあの『俺は変わっていない』って手紙が届いたらかなり迷惑だと(笑)🤣
キャンディの象嵌細工の宝石箱には、私たち読者の知っている人々との思い出の品ばかり。知らない人の手紙などはありません。ですから、若い頃にテリィからの手紙が届き、ふたりは再会をし、イギリスに渡ったと考えます✨それからは、キャンディはテリィのためだけ?に毎日を過ごしていて、新たな人々との出会いはあまりないのだろうと感じます。

*年齢設定も諸説ありますが、私はなかよし漫画新聞1977年6月号を主軸にしています。この設定ですとFSにある登場人物間の年齢差が違ってきます。私は月刊なかよしの初期設定で考えておりますことをご了承くださいませ。

Googleで『キャンディキャンディ二次小説』と検索して訪れて下さる方が多いようで、(アメブロ内ではなく)数人の方から『ジゼルさんは、キャンディはテリィと暮らしていると思っているか?』と言うような(心配?)ことを尋ねられたので、ざっくりと思っていることを書きました💕私のプロフィール内容だとわからないですね💦

キャンディやテリィのイメージを崩していませんようにと祈りながら✨







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