友人とは言いがたい知人に都会に来て初めて、外に繰り出そうと誘われたカラオケ。
若さとは、時に無知であり、その感覚も曖昧なもの。
私はその日、友人に連れられカラオケボックスの部屋番号の扉を開けちまったのである。
扉の向こう。
そこは一面銀色の世界だった。
なら良かったのだが、ドアを開けたその先。
そこは一面。
ロックンローラーの溜まり場だったわけである。
見るからにパンツ履いてませんよ的なピタピタ皮パン男。
オールバックにライダース定番男に。
重てぇだろソレ…と思われる腰に下げたシルバーのウォレットチェーン男。
その他ヨレヨレ感満載の大勢御礼多勢に無勢という具合だった。
思わず天を見上げる。
お。お母はん。
都会は怖かところです(-_-;)
とっさに「逃げる言い訳」を考える。
「こう見えましてもアテクシ。
勉強とクラシックしかナメたことございませんの。アテクシなんぞ誘っても、ちっとも良いことなんか無いざます。ぽぽぽ」
ダメだ。
それでは誘って下さいと勘違いされるではないか(-∀-;)
思わず脳内にいるキャンディーは踊り出す。
せとわんたんっ(人´∇`)♪
日暮れてんどんっ(´∇`人)♪
完全無欠のテンパり到来でつ。
おもむろに男たちに渡されたマイクにギョッとする。
言わずもがな純情可憐な女子には、そのマイクが男性シルエッツに見えた。
のは言うまでもない。
いかん!
私は音楽家なのだ。
ここで恐れてはならぬ。
プライドをかざして、上向き加減で言うのだよ。
「歌ってあげても良くってよ?」
と思うも裏腹。
私は、明らかに動揺していたのだろう。
ピピピピピピッ。
選曲したのは何故か
「アンコ椿は恋の花」
であった。
実にウ○コである。
何をやっているのだよアタヒィ!
と思いながら歌ったら…ウケたのだ。
部屋中を覆う煙草の煙。 が鼻を撫でる
まるで、ドライアイスの製造場のように一面を埋める形の無い煙。
そんな中、何故か。
私は彼らに、スモーキー歓迎されてしまうのだ。
そうして私は、様々な曲を歌わされる。
歌えば穏便に逃がしてくれるだろうと思った。
これが若さの象徴。
一通り歌い終えて、やさくれチックな男がこう言った。
「木曜日。夜7時から。スタジオ練習。来いよ?」
…来いよて。
…こいよ。
…コイよ。
…帰ってこいよ?
Σ( ̄▽ ̄ノ;)ノ!!!
そう。
この時がまさに、私のこれまでの音楽人生が、クルリと180度転換した。
まさかまさかのロックンローラーの世界へと足を歩み入れることとなった最初の一歩。
カラオケは、いわゆるオーディションであり、後戻りはできない帰り道。
そう。
それがワタクシ。
Candy keysの始まりなのだ。