───何故だろう?
普段はしつこい程くっついて来るこの男が鬱陶しい筈なのに。
隣で寝息をたてている…ただそれだけで愛おしく思えるのは。
触れていたい、そう思うのは何故だろう?
燃える様に綺麗な赤い髪。長い睫毛。
軟派なクセに美しく鍛えられている身体。
ひとつひとつを確かめる様に指先でなぞる。
「全く…ピクリともしないなんて無防備すぎだよ」
と呟きつつ、顔は自然と微笑んでしまう。
そしてそっと口付けると、彼女も眠りに落ちた。
───何故だろう?
普段は嫌がられ様とも平気で抱きつけるのに。
あ~んな事やこ~んな事だって出来るのに。
ただ寝ている、それだけだというのに
触れるのを罪の様に思えるのは何故だろう?
普段は男顔負けに行動する彼女が、
静かに寝息をたてているというだけでこんなにも神聖に感じてしまうのはどうしてなのだろう?
健康的な肌、流れるようなうなじ。無防備に横たわるその姿は「襲ってくれ!」と言わんばかりなのに。
「オレってほ~んとダメダメだよなぁ↓」
と呟いて彼は眠りについた。
愛する二人の微妙な距離