ある日、母が頼んでおいた荷物が届きました。その中には茶色い粉の詰まった袋と亜麻仁油、そして柿渋と書かれた瓶が入っていました。中に入っていた茶色い粉はべんがらと言うものでした。べんがらは酸化第二鉄を主成分とする赤色の顔料のことです。化学組成は鉄の赤錆と同様です。原始人が描いた洞窟壁画にも使われています。昔ベンガル地方から輸入していたのでべんがらと言う名前になったと言われています。昔は京都の町家によくべんがらが塗られていました。私は母を手伝って、父の新しいギャラリーの格子をべんがらで塗りました。まず、バケツにべんがらと柿渋を入れて良くかき混ぜます。そして刷毛で格子に塗りました。早く塗りすぎると、泡が出来てしますので、ゆっくり丁寧に3回塗らないといけませんでした。塗り終わってちょっと乾いたら、布で拭きます。そして完全に乾いたら今度は油を薄く塗って布で拭きます。亜麻仁油を塗りこむと格子に艶が出ました。べんがらで塗った格子のことを紅殻格子と言うのだそうです。べんがらはペンキと違って、落ち着く色でとてもオシャレでした。また色々べんがらでものを塗ってみたいです。



