CT検査後に、主治医ではないO医師からの説明を受けることになりました。

 

O医師は図を描きながら説明してくれます。

 

O医師:『胃には問題はないようですが、

     十二指腸が閉塞していますね。

     隣接する膵臓に張り付くようにできものがあり

     そのせいで閉塞しています』

 

私:「そのできものとは何なのでしょう?」

 

O医師:『胃がんをされたということですから

    多くの場合、これは再発ですね。

    正確なところは組織を取ってみないと分かりませんが』

 

やはり再発なんだ・・・

 

私:「手術で取り除けるものなのでしょうか?」

 

O医師:『いいえ、それはできません。

    さきほども言いましたが膵臓に張り付いていますので

    部位的に手術ができませんし、ここでがんを刺激するような

    こと(メスと入れること)をすると

    がんが悪化する可能性もありますので』

 

手術ができないなんて・・・

私は次の質問を冷静に考えつつも、大きく動揺していました。

 

私:「では治療はどうするのですか?」

 

O医師:『十二指腸の閉塞を改善する治療をします。

    ステントを入れて十二指腸の通り道を確保しますが

    ステントはすぐには設置できないので、

    しばらくは鼻から管を入れて閉塞しないように通りを確保し、

    その後、金属のステントを設置します』

 

夫と私:「分かりました」

 

私:「ステント以外の積極的な治療はありますか?」

 

O医師:『そうですね、抗がん剤治療はありえますが、

     少し先になりますね。また時期が来たらお話します』

 

夫と私:「お願いします」

 

O医師:『そしてもう一つ、問題があります。

     十二指腸が閉塞していることで、

     十二指腸に流れ込む各種消化液:胆汁や膵液が

     うまく流れていないばかりか、

     水分もお腹に溜まった状態です。

     さらに、閉塞しているせいで肝臓にも影響を及ぼし

     肝臓に細菌が増殖しているのだと思いますが

     膿が2つできているのでこれを排出する必要があります。

     こういう事情なので食欲がなかったり

     倦怠感がひどかったりしていると思われます」

 

夫:「どう治療するのですか?」

 

O医師:『肝臓に外側から(皮膚から)穴を開け、

    ドレーン(管)で膿を外に出します。

    そして抗生剤を点滴して菌を殺します』

 

私:「その治療はどのくらい時間がかかるのですか?」

 

O医師:『そうですね、最低でも2週間、

     いや1ヶ月は見ておいてください』

 

え、そんなに?

 

夫の仕事はどうなるのだろう?

これからの私たちの生活は?

 

一瞬で、私の頭の中はいろいろ考えはじめ混乱してしまいました。

 

私たちの動揺と落胆ぶりがO医師に伝わったのだろうと思う。

O医師はこんなことも言ってくれました。

 

  

O医師:『もう少し治療開始が遅れていたら

     どうなっていたか分かりません。

     十二指腸が閉塞し、各種消化液が渋滞しているのですから

     溜まった液が破裂してしまった可能性もあります。

     なので今の段階で処置できて良かったと思いますよ』

 

 

たしかにそう。

物事にはいい面も悪い面もある。

いい面をみなくちゃ。

 

鼻から管を入れる処置は

今日これからしてくださるというお話。

 

このときすでに17時。

ドクターやナースの皆さんにはただ頭が下がるばかりです。

今日、この病院に来ることができて本当に良かった。