2025年9月12(金)三越日本橋本店で開催されている第72回日本伝統工芸展に行ってきました。

あいにくの雨模様でしたが三越本店は地下鉄半蔵門線三越前駅直結なので傘をさすことなく行く事ができました。

伝統工芸とは日本古来の技術を使って手作りされた日用品で今日では芸樹的にも評価されてる品をです。

日本伝統工芸展は優れた伝統工芸の保護、育成を目的に日本工芸会が現代の名工の作品を集める公募展です。

陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸の7部門に大きく分類され入選作等が選ばれます。今年は1128点の応募が有り542点が入選、入選作の中から優秀賞8点が選ばれました。

毎年テレビでは見て知ってはいたのですが会場が三越本店とやや遠く開催期間も2週間弱と短いため行った事がありませんでした。今年は妻に余裕ができた事もあり行く事が出来ました。前週にNHKの日曜美術館で入選作の紹介や主要作品の制作過程を放送していたので予習ができました。展覧会会場でTVどうりだなとか画面より実物の方がずっと素敵、また緻密な作品の作り方を学んでからみたのでとても楽しかったです。

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<主な作品と個人的な感想>

No.206 生絹「万葉綺譚(きたん)」高松宮記念賞

今回の展覧会の中で私の最高賞です。写真やTVで見るより数段素敵です。高松宮記念賞は、全体の第二選の賞です。とても細い生絹の糸で出来た薄手の着物です。写真ではうまく表現できていませんが、細い糸でおられていて向こう側が透けて見えます。基本縦糸が染めてあり横糸には絞りがかっていて絶妙に染織されています。左半身にかけて淡いグラデーションになっていてとてもきれいでした。彩色は染糸でプリントではありません。所々に白い小さな刺繍も噛んで良いアクセントになっていて素敵でした。展示場で少し風が吹くたびに緩やかに揺れて本当にきれいでした。今年の夏のように、暑い時期には羽織って出かけたいようなものでした。きれいでした。


No. 498 硝子重箱「織花」日本工芸会総裁賞

ガラス工芸の作り込み
重箱を各段にしたところ

日本工芸会総裁賞 全体の中で1番の特選に位置する作品です。

ガラス工芸です。3段のガラス重箱で写真では表現できていませんが、透明感のある外側の中に藤の花を模したガラス細工が埋め込まれていてとてもきれいでした。藤の花は、透明と白と紫色や紅色のガラスの棒を熱して融合させ 1本の棒にしてそれに、ねじりを加えて、藤の花を表現しています。それを最内側一重に並べ、その外側に透明なダラスを盛って四角い重箱に仕立ててあります。一辺が12cm程と小さな作品ですがとても存在感がありました。仕上げもとても綺麗で周囲の硝子の中も綺麗に透明で表面の仕上げもクリアで綺麗でした。さすが一等賞という感じでした。


No.450 盛籃「瑞花」東京都知事賞

幅53cm奥行53cm高9cmとやや大きめの竹工芸作品です。

今回の作品群の中で前出のガラス重箱と共に私の第二選です。全体の評価は4選でした。

中心部は黒と藍で染められたやや太めの竹ひごを鉄線編みに緻密に編み上げ、まるでお花の中心のように円形に編みそこから黒藍に染めた細い竹ひごを花弁のように櫛形に配し6弁の花形に仕上げています。櫛の間にはデザインと強度のための籐編みで花弁凛を編み込んでいます。本当に素敵でした。派手さはありませんが精緻で趣がありました。

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その他にも素敵な作品がたくさんありました。私の気に入った作品の写真だけでもどうぞ。

No.329沈金象嵌宝石箱「稀海」朝日新聞社賞

天部と短側面は銀象嵌、長側面は銀、アルミ、錫ぼ沈金装飾


No.307 乾漆6弁輪花盛器 日本工芸会奨励賞

全面とても綺麗に仕上げた赤漆。幅37cmと写真で感じるより大きい。

シンプルだけど素敵。


No.367 片身替古裂紋様仕覆形手箱 日本工芸会新人賞

単なる帰着袋に見えるが実は金工!黒い部分は赤銅に漆、銀色は銀、錫等の象嵌。紐は銀の棒を加工。

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日本伝統工芸展は来年の3月にかけて全国の11の会場で巡回展示されます。毎年行われている展示会なのですが、毎年毎年とても素晴らしい作品が出品され驚くばかりです。現代の工芸作家の技術も古い伝統に培われた上に、新しい技術が積み重なってとても素晴らしいものができています。時間が取れる方はぜひいちどいかがですか?