パ・ラパパンパン
シアターコクーン




あらすじ
年の瀬も押し迫った12月24日。小説家 来栖てまりは、初のミステリー作品に挑んでいた。ヒット作を生み出せないままデビューから時が経ち、自らの才能にも限界を感じ始めたなかでの悪あがきだった。とはいえ…何をどう書けばいいのかわからない。頭を抱えるてまりを、編集者 浅見鏡太郎が後押しする。ふたりで話し合っていくうちに、たまたま見つけた「クリスマスキャロル」の世界に筆が向き始める。そして、てまりの中に “パ・ラパパンパン〜♪” と音楽が流れ出す。同時に登場人物たちが自由に動き出す。



てまりが執筆中の小説『クリスマスキャロル殺人事件』
19世紀のロンドン。お祝いムードに包まれたクリスマスイブ。皆がクリスマスの準備に浮かれているのに、街中の嫌われ者スクルージは、いつもと変わらず不機嫌顔で街を歩いている。
教会ではウィルキンス慈悲慈愛ファンデーション主催のチャリティーパーティーが催され、生まれつき足の不自由なティムを中心に、人々が集い、笑顔を交わしている。そこに、珍しく、スクルージがやってくる。
やがて街は静かに眠りにつき、それぞれに幸せな夢を見る。ところが翌日、スクルージが自宅で倒れているのが発見される。パーティーに参加した11名を容疑者として、刑事と探偵が事件を暴いていく。





犯人は捕まり、事件は早期解決。物語は ”完“ と結ばれた…はずだった。けれど、そう書き上げたばかりのてまりが、突然、事件の真相に気づく。
「彼は犯人じゃない!」
「物語をこのまま終わらせてはいけない」 
その瞬間、なぜかてまりの視界は崩れ落ち、暗闇に閉ざされてしまう。

小説世界の犯人とは誰なのか。現実世界で何が起きたのか。その答えは作者であるてまりにしかわからない。ふたつの世界の真実がわかったとき、物語は本当の完結を迎える。
                      (公式より)




演出 松尾スズキ 
作 藤本有紀

プロローグで登場人物名を二人ずつプロジェクトマッピングでバック幕に映し その二人がセンターでポーズを決める。真っ暗になり次々とご紹介。なかなかシャレてる。テレビドラマの紹介のようだ。

第一幕 とてもおもしろかった。
てまりさんがパソコンで「クリスマスキャロル殺人事件」を書くと 登場人物たちが舞台でそのまま動く。端っこで 担当の浅見くんがダメ出しをすると 物語の人物たちのキャラが変わったりする。観客大笑い。

クリスマスキャロルのストーリーをなかなか理解していないてまりさんに 浅見くんが説明するとき いろいろなモノマネをする。芸達者な神木隆之介。てまりさんも「平泉成さんか?声優感すご過ぎて説明入ってこないんだけど?」観客大笑い。




パ・ラパパンパンとは なんだと思っていたら「リトル・ドラマー・ボーイ」というクリスマス曲のワンフレーズだそうだ。 てっきり「ラ・バンバ」だと思っていた。
突然歌い出す松たか子。初めて生歌を聞いたが うますぎる。
かのレリゴーそのまま とても聞きやすい。さすがだ。




松たか子と神木隆之介見たさで取ったチケットだったが まぁすごいキャストばかりだった。




守銭奴スクルージは 小日向文世。安定。要所を締める。
とは言うもののアドリブもポンポン飛び出る。


アドリブといえば 皆川猿時。



「ここで何かやらないと出番なくなるから〜」となかなか終わらないアドリブに 端にいたフレッド役の大東駿介は笑いを我慢できず 後ろ向きになるほど。もちろん観客大笑い。




筒井真理子 どこかで見たと思ったが いつも萬田久子と間違える。




坂井真紀と酒井美紀と水野真紀と水野美紀。
誰が誰だかわからない。これぞミステリー。出演していたのは 坂井真紀。

スカッとジャパンの迷惑おばさんの宍戸美和公。クリスマスのプレゼント廻しシーンでは 忍者タイツが当たって大喜び。
観客も大喜び。




成長を止める薬を飲まされて7才の男の子のままのティムを演じる可愛い川嶋由莉。



マンガのような可愛い声で「金に汚いスクルージさん。こんばんは」に全員で「あどけないねぇ」
観客大笑い。


物語の登場人物たち11人 すべての台詞、動作が面白い。
基本 小説家(松たか子)と担当者(神木隆之介)は現代に生きる二人なので 11人との絡みはない。それがまた観客にウケる。いつも舞台は大賑わい。

神木隆之介は「キレイ」以来2度目の舞台らしいが さすがのキャリア。伏線がたくさんある第一幕はめっちゃ面白い。
小説家がボケ 担当者がツッコミ。





逆に 第ニ幕は 伏線の謎解きでややまどろっこしい。
意識が途切れたてまりが 自分の書いている小説の中に入り込んでスクルージを襲った真犯人を捜索する。

あぁ…
全編通して 要所がそこら中にあるので かいつまんで…のあらすじが書けない。起承転結の真ん中をしっかり書かないと結論書いても「なぜそうなった?」となる。 
難しいなぁ。
この目の話せない芝居の魅力は 藤本有紀の脚本か?
今やってるNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」の作家さんらしい。




松尾スズキの演出も容赦ない。
「2009年はキングオブコントで東京03が優勝した年」
「火サスで 幸薄そうな女が出できたらだいたい中山忍」
藤原竜也の声真似で突然出てくる「キンッキンに冷やしてやる。悪魔的になぁ〜」の台詞に「なんでそんな蜷川幸雄の秘蔵っ子みたいな言い方なのっ」とか 楽しくて仕方ない。
あ…「餃子の王将と大阪王将は仲が悪いらしい」とかの情報もぶち込んでくる。




縦開きの見づらいプログラム。
今回のお席は 最前列XB〜なので C列は前から5列目。
顔の小さい松たか子。視力が悪いので どこでも双眼鏡で表情確認。数メートル先の舞台からは「こんな近くで双眼鏡?」なのかほとんどの演者さんの視線をいただいた(双眼鏡勘違いあるある…) 
お客様はご夫婦が多い。四方八方おじさんに囲まれた。




二幕途中で素晴しい「リトル・ドラマー・ボーイ」を歌う松たか子を受けて 神木隆之介ものりのりでラパパンパン♪と歌う。ミュージカルではないので歌唱のあとの拍手はないのだが 神木隆之介の時は 観客から拍手があり
「え? へへっ。ありがとうございます」と照れていた。
いやいやとても上手だった。

エピローグでは 皆さん 楽器を持ち寄り「リトル・ドラマー・ボーイ」を演奏し ステキな歌で締めくくった。
こひさん サックス吹いてた。上手で誰だろ…青いドレスだったから筒井真理子かな フルート吹いてた。

 



とにかく 松たか子の生歌 素晴らしかった。
さすがサラブレッド。
松たか子の芝居はハズレがない。